「うちの子、頭を撫でようとすると顔をそむけるのに、顎の下をかくと目を細めてうっとりする」——そんな経験はありませんか。犬には撫でられて嬉しい所と、あまり触られたくない所がはっきり分かれています。そして嬉しい所には、犬の習性からくるちゃんとした理由があります。
結論から言うと、犬が撫でられて嬉しい所は「耳の付け根・顎の下・胸・首・背中・眉間・腰」など、自分では舐めて手入れできない部位に集中します。ここを正しく撫でると犬は安心し、飼い主との信頼関係もぐっと深まります。逆に、マズルや足先を不用意に触ると警戒されてしまうこともあります。
この記事では、犬が撫でられて嬉しい所を7か所に分けて部位ごとに解説し、嫌がる部位・「もっと撫でて」のサインの見分け方・犬種や年齢による好みの違い・やりがちなNGな撫で方まで、犬仲間に教えるつもりで具体的にお伝えします。今日の夜のスキンシップからすぐ試せる内容です。
・犬が撫でられて嬉しい所が「顔まわり〜前半身」に集中する理由
・とろける定番7部位の場所と撫で方のコツ
・嫌がる部位と「もうやめて」のサインの見分け方
・犬種・年齢による好みの違いと正しい撫で方の手順
犬が撫でられて嬉しい所は「自分で舐められない場所」だった|3つの理由

まず、なぜ犬は特定の場所を撫でられると嬉しいのかを押さえておきましょう。ここを理解すると、初対面の犬に対しても「どこを触れば喜ぶか」が予想できるようになります。犬の好む部位には、群れで暮らしてきた動物ならではの共通ルールがあります。
結論:嬉しい所は顔まわりから前半身に集中している
犬が撫でられて嬉しい所は、耳の付け根・顎の下・眉間・胸・首・背中・腰のあたりに集中しています。これらに共通するのは、いずれも犬が自分の舌では届かない部位だということです。犬は口が届く足先やお腹、しっぽは自分で舐めて手入れできますが、顔まわりや背中は自分ではケアできません。だからこそ、そこを人の手でケアしてもらうことを心地よく感じます。逆に言えば、自分で舐められる足先や口先は「わざわざ触ってもらう必要のない場所」なので、触られると戸惑う犬が多いのです。まずは顔まわりから前半身を狙う、これが基本方針になります。
理由①仲間同士の毛づくろい(アログルーミング)の名残
犬が顔や首まわりを撫でられて喜ぶのは、群れの中で仲間同士が毛づくろいをし合ってきた習性の名残です。犬や狼は、信頼している相手の耳の後ろや首、顎の下といった「自分では手入れできない場所」を舐め合ってきました。これをアログルーミング(社会的グルーミング)と呼びます。飼い主が同じ部位を撫でる行為は、犬にとって「仲間に毛づくろいしてもらっている」感覚に近く、安心につながります。だから初対面でいきなり頭の上から手を伸ばすより、犬の目線の高さで顎の下や胸をそっと撫でるほうが、犬は「敵ではない」と受け取りやすいのです。この習性を知っているだけで、犬との距離の縮め方が変わってきます。
理由②撫でられると「安心のホルモン」が出る
犬が信頼する相手に優しく撫でられると、体内でオキシトシンという物質が分泌されることが知られています。オキシトシンは「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、心拍を落ち着かせてリラックスした状態をつくります。しかも興味深いことに、これは撫でている飼い主側にも分泌されると報告されており、スキンシップはお互いの絆を深める行為だといえます。ただし、これは「犬が心地よいと感じる撫で方」をしたときの話です。犬が緊張しているのに無理に撫で続けると、逆にストレスがかかります。嬉しい所を、犬がリラックスしているタイミングで撫でる——この2つがそろって初めて、安心の効果が生まれます。
理由③自分では届かない部位だからこそ気持ちいい
耳の付け根や背中は、犬がどんなに体をひねっても自分の舌や後ろ足では十分にかけない場所です。かゆくても自分では掻きにくいこうした部位を、指の腹でほどよくマッサージされると、犬は素直に「気持ちいい」と感じます。人間でいえば、自分では届かない背中のかゆい所を掻いてもらう感覚に近いでしょう。だからこそ、犬が撫でられて嬉しい所を狙うときは「この子が自分で舐められる場所か、届かない場所か」を基準にすると外しません。届かない場所=喜ぶ場所、届く場所=あえて触らなくてよい場所、というシンプルな見取り図で考えると分かりやすくなります。
「どこを撫でれば喜ぶか分からない」というときは、まず犬が自分で舐めているところを観察してみましょう。足先や前足を頻繁に舐めるなら、そこは自分で手入れできる場所。逆にほとんど舐めない耳の後ろや背中こそ、撫でてもらいたい場所である可能性が高いです。
顔まわりでとろける定番3か所|耳の付け根・顎の下・眉間
ここからは、犬が撫でられて嬉しい所を部位ごとに具体的に見ていきます。全部で7か所、まずは犬が特にとろけやすい「顔まわり」の3か所からです。どこも力を入れず、指の腹でゆっくり動かすのがコツになります。
耳の付け根・耳の後ろ|多くの犬が一番喜ぶ場所
耳の付け根から耳の後ろにかけては、多くの犬が「一番好き」と反応する定番の部位です。ここは自分では絶対に届かず、毛づくろいでも仲間に頼るしかない場所なので、撫でられると特に心地よく感じます。撫で方は、指の腹で耳の付け根を軽く円を描くようにマッサージするのが基本。1か所5〜10秒ほど、犬が目を細めたり体重を預けてきたら「もっとして」のサインです。注意したいのは、耳をつかんだり引っ張ったりしないこと。耳そのものはデリケートなので、あくまで「付け根の周辺」を優しく動かします。垂れ耳の犬は蒸れやすく耳をさわられるのを嫌がる子もいるので、様子を見ながら進めましょう。
顎の下・喉元|下から手を出せて警戒されにくい
顎の下から喉元にかけても、犬が気持ちよさそうに目を細める人気の部位です。ここのよさは、犬にとって「下から手が来る」ため頭の上から触られるより怖くないこと。初対面の犬と仲良くなりたいときも、頭ではなく顎の下からそっと手を差し入れるのが正解です。撫で方は、指先で顎の下を軽くカリカリと掻くように、あるいは手のひらで喉元を包むように。犬がぐいっと顎を持ち上げてきたら「もっと掻いて」の合図です。ただし、相手がまだ緊張している段階で喉元に一気に手を伸ばすと警戒されることもあるので、最初は胸のあたりから徐々に上へ移動すると安心させやすくなります。
眉間・頭のてっぺん|信頼している相手にだけ許す場所
眉間から頭のてっぺんは、犬がリラックスしているときにゆっくり撫でると喜ぶ場所です。ただしここは注意が必要で、頭の上は犬にとって死角になりやすく、信頼できない相手にいきなり触られると身構える部位でもあります。だから「初対面ではなく、すでに信頼関係のある相手」向けの場所と考えてください。撫でるときは、眉間から鼻筋にかけて指で一直線にゆっくりなでると、目をとろんとさせる犬が多いです。逆にやりがちな失敗が、可愛いからと頭をわしわし勢いよく撫でること。犬にとっては刺激が強すぎて、せっかくのリラックスが台無しになります。撫でるというより「そっと置いて滑らせる」イメージが合っています。
顔まわりを撫でるときは「上から」ではなく「下から・横から」が鉄則です。頭の上から手を出すと犬の視界を手が覆い、本能的な警戒を招きます。顎の下や胸から始めて、犬が受け入れてから頭へ移ると失敗しません。
体でリラックスする4か所|胸・首・背中・腰

顔まわりに続いて、体で犬がリラックスする4か所を紹介します。ここまでで撫でられて嬉しい所は合計7か所。体の部位は面積が広いぶん、手のひら全体を使ってゆったり撫でられるのが魅力です。
胸・前足の間|初対面のあいさつに最適
胸から前足の間は、犬と初めて触れ合うときに最もおすすめできる場所です。頭や背中と違って犬の正面にあるため、犬は手の動きが全部見えていて安心できます。撫で方は、手のひらで胸をゆっくり上下、または円を描くようにさすります。緊張している犬でも、胸をそっとさすられると落ち着くことが多く、動物病院やお迎え直後のリラックスにも役立ちます。前足の間の少しくぼんだあたりも心地よいポイントです。散歩中に他の飼い主さんの犬とあいさつするときも、まずは胸のあたりに手を添えるところから始めると、犬同士・人同士のトラブルを避けやすくなります。
撫で方そのものをもっと詳しく知りたい方は、部位ごとの手順やNG例をまとめたこちらの記事も参考になります。

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首まわり・肩|マッサージ効果でこりをほぐす
首まわりから肩にかけては、犬が撫でられて気持ちよさを感じやすい部位です。犬も人と同じように、いつも頭を支えている首や肩に負担がかかっています。ここを指の腹で軽く揉むようにマッサージすると、目を細めてうっとりする犬が多いです。撫で方は、首の後ろから肩にかけて、毛の流れに沿って手のひらでゆっくりなでおろすのが基本。首輪をつけている犬は首輪の周辺がムレたりこすれたりしていることもあるので、そのあたりを優しくほぐしてあげると喜びます。ただし、首は急所に近い場所でもあるため、緊張している犬や初対面の犬にいきなり後ろから触れるのは避け、正面から信頼を得てからにしましょう。
背中|広い面をゆっくり、安心感が高い
背中は、面積が広く手のひら全体でゆったり撫でられる、安心感の高い部位です。首の後ろからしっぽの手前まで、毛の流れに沿って一定のリズムでなでおろすと、犬は落ち着いた表情を見せます。ポイントは「逆立てない」こと。毛の流れに逆らってゴシゴシすると刺激が強く、嫌がる犬もいます。あくまで頭からしっぽへ、一方向にゆっくりが基本です。背中をなでられながら床に寝そべる、体重を預けてくるといった反応が出たら、しっかりリラックスできている証拠。就寝前のスキンシップにも向いていて、毎晩の習慣にすると犬が安心して眠りにつきやすくなります。
腰・しっぽの付け根|掻くと反応が大きい隠れた名所
腰からしっぽの付け根は、実は反応が大きい隠れた名所です。この付近を軽くトントンと叩いたり、指でカリカリと掻いたりすると、お尻を突き出したり後ろ足で空中を掻くような仕草を見せる犬がいます。ここも自分では掻きにくい場所なので、掻いてもらえると気持ちいいのです。ただし個体差が大きく、しっぽの付け根を触られるのを嫌がる犬もいます。反応を見ながら、嫌がる素振りがなければ続ける、というスタンスで。強く叩きすぎると痛みにつながるので、あくまで軽くトントン程度にとどめましょう。「ここが好き」と分かれば、ご褒美代わりのスキンシップとして使える便利な場所です。
「嬉しい所」は犬によって少しずつ違います。7か所すべてを順に軽く撫でてみて、体重を預けてくる・目を細める・お尻を突き出すなど反応が大きかった場所が、その子の「ごくらく部位」。愛犬だけの好みリストを作るつもりで観察してみてください。
撫でられて嫌がる所もある|触られたくない4部位のサイン
嬉しい所がある一方で、犬には「あまり触られたくない所」もあります。ここを知らずに触ると、せっかくの信頼が崩れることも。嫌がる部位と、そのときのサインをセットで押さえておきましょう。
マズル・口先|攻撃と結びつく敏感な場所
鼻先からマズル(口の周り)は、多くの犬が触られるのを嫌う敏感な部位です。犬にとって口元は食べる・噛むという行為に直結する場所で、無防備に触られると身の危険を感じやすいのです。自分で舐められる場所でもあるため、あえて人に触ってもらう必要も感じていません。歯みがきや投薬などで口元を触る必要がある場合は、子犬のうちから少しずつ慣らすトレーニングが欠かせません。いきなり成犬のマズルをつかむと、驚いて噛みつく反射が出ることもあるので注意しましょう。日常のスキンシップでは、無理にマズルを触らないのが安全です。
足先・肉球|自分で守りたいデリケートゾーン
足先や肉球も、犬が触られるのを嫌がりやすい場所です。足は逃げるための大切な部位で、押さえられると「動けなくなる」不安につながります。また肉球は敏感で、くすぐったく感じる犬も少なくありません。とはいえ爪切りや足ふき、肉球ケアなど、足を触る場面は避けて通れません。だからこそ、嫌がる子ほど普段から足先にそっと触れて「触られても嫌なことは起きない」と教える練習が大切です。1日1回、おやつを与えながら足先を軽くタッチする——それを繰り返すだけでも、少しずつ受け入れてくれるようになります。嫌がっているのに無理やり押さえるのは逆効果です。
しっぽ本体|つかまれると不快、痛みにも直結
しっぽの付け根は好む犬が多い一方で、しっぽそのものをつかまれたり引っ張られたりするのは、ほとんどの犬が嫌がります。しっぽは感情を表す大切な部位であり、骨や神経も通っているため、強くつかむと痛みにつながります。特に小さな子どもがいる家庭では、子どもがしっぽを引っ張って犬が驚く、というトラブルが起きがちです。犬が振り向いて歯を見せる前に、「しっぽはつかまない」を家族のルールにしておきましょう。付け根を軽く掻くのはOK、しっぽ本体をつかむのはNG——この違いをはっきりさせておくことが大切です。
お腹|信頼していないと見せられない急所
お腹は「見せてくれたら撫でていい」ことも多い一方で、信頼関係ができていないうちは触られるのを嫌がる急所です。お腹は内臓を守る無防備な場所で、犬が自分からゴロンと仰向けになるのは、その相手を信頼している証でもあります。ただし、仰向けは「これ以上近づかないで」という服従・降参のサインとして出ることもあり、必ずしも「撫でて」の意味とは限りません。見分け方は、体全体がゆるんでリラックスしているか、それとも固まっているか。リラックスしていればそっと撫でてOK、固まっていたら無理をしないのが正解です。仰向けや「へそ天」の心理をもっと知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

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嫌がる部位でも、爪切りや歯みがきなどで触らざるを得ない場面はあります。そのときに「押さえつけて無理やり」を繰り返すと、その部位への苦手意識が強まります。おやつとセットで少しずつ慣らすのが、遠回りに見えて一番の近道です。
犬が「もっと撫でて」と伝えるサインの見分け方
撫でるうえで一番大事なのは、部位そのものより「犬が今それを望んでいるか」を読むことです。同じ場所でも、機嫌のよいときは喜び、そうでないときは嫌がることがあります。犬のサインを読み取れるようになりましょう。
嬉しいときのボディランゲージ
犬が撫でられて嬉しいときは、体全体がゆるみます。目が細くなる、口元がやわらかく少し開く、体重を預けてくる、撫でる手をやめると鼻先で「もっと」とつついてくる——これらは「気持ちいい、続けて」のサインです。しっぽを大きくゆったり振る、その場でゴロンと横になるのも同じ意味。こうしたサインが出ているときは、その部位がその子の嬉しい所である証拠なので、安心して続けて構いません。犬の愛情表現やサイン全般をもっと知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

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「もうやめて」のカーミングシグナルを見逃さない
一方で、犬が「もうやめて」と伝えているのに気づかず撫で続けてしまうのは、よくある失敗です。あくびをする、鼻や口をペロッと舐める、顔をそむける、体を固くする、そっと離れようとする——これらはカーミングシグナルと呼ばれる「落ち着きたい・やめてほしい」の合図です。ある飼い主さんは、可愛いからと嫌がるサインに気づかず頭を撫で続けた結果、犬が撫でられること自体を避けるようになってしまいました。原因は「サインの見逃し」。対策はシンプルで、こうした仕草が出たらいったん手を止めることです。やめてほしいときにちゃんとやめてもらえると、犬は「この人は自分の気持ちを分かってくれる」と学び、かえってスキンシップを受け入れやすくなります。
撫でる前に許可を取る「同意テスト」
撫でていいかどうか迷ったら、「同意テスト」を使いましょう。やり方は簡単で、3〜5秒ほど撫でたら一度手を止めてみる。犬が体を寄せてくる・手をつついてくるなら「続けて」の意思表示なので再開します。逆に、手を止めた犬がその場を離れる・興味を示さないなら「今はいらない」ということ。無理に追いかけて撫でないのが正解です。この「撫でる→止める→反応を見る」を習慣にすると、犬は「自分の意思が尊重される」と感じ、飼い主への信頼が深まります。初対面の犬に対しても有効で、飼い主さんに許可を得たうえで、まず胸を数秒撫でて反応を確かめる——このワンクッションが、犬に好かれる人の共通点です。
犬種・年齢別|撫でられて嬉しい所の違い
撫でられて嬉しい所には、犬種や年齢による傾向の違いもあります。もちろん個体差が前提ですが、体格や年齢に合わせて撫で方を変えると、より喜んでもらいやすくなります。
小型犬・中型犬・大型犬の違い
体格によって、心地よい撫で方の「強さ」と「向き合い方」が変わります。小型犬は体が小さく力に敏感なので、指の腹でそっと撫でるのが基本。大きな手で頭を覆うと威圧感を与えやすいため、下から手を出すのが安心です。中型犬は活発な子が多く、胸や背中を手のひら全体でしっかりめに撫でられるのを好む傾向があります。大型犬は撫でられる面積が広く、首や背中を少し力を入れてマッサージすると気持ちよさそうにする子が多いです。ただし大型犬でも顔まわりはデリケート。体格に関わらず「顔は優しく、体はその子に合った強さで」が共通の目安になります。
子犬・成犬・シニア犬の違い
年齢によっても、撫で方の配慮ポイントが変わります。子犬期は全身を触られることに慣らす大切な時期。この時期に足先や口元も含めて優しく触れておくと、将来の爪切りや歯みがきがぐっと楽になります。成犬は好みがはっきりしてくるので、その子の「ごくらく部位」を中心に。シニア犬は関節や体に痛みが出やすくなるため、強いマッサージは避け、軽くさする程度にとどめます。特に腰やしっぽの付け根は、シニアになると痛みを感じやすい場所。触れたときに嫌がる、うなるといった変化が出たら、撫で方を弱めつつ、気になる場合は獣医師に相談しましょう。
【プロドッグ調べ】部位別・喜ばれやすさと注意度の目安
これまで紹介した7つの嬉しい所を、喜ばれやすさ・初対面での使いやすさ・注意度で整理しました。あくまで一般的な傾向の目安として、愛犬の好みを探る出発点に使ってください。
| 部位 | 喜ばれやすさ | 初対面での使いやすさ | 注意度 |
|---|---|---|---|
| 耳の付け根 | ◎ | △ | 耳は引っ張らない |
| 顎の下・喉元 | ◎ | ◎ | 下から手を出す |
| 眉間・頭 | ○ | × | 信頼できてから |
| 胸・前足の間 | ○ | ◎ | あいさつ向き |
| 首・肩 | ○ | △ | 後ろから急に触れない |
| 背中 | ○ | ○ | 毛の流れに沿う |
| 腰・しっぽの付け根 | ○(個体差大) | × | 軽くトントン程度 |
やりがちなNGな撫で方と正しい撫で方の手順
最後に、良かれと思ってやりがちなNGな撫で方と、犬に好かれる正しい撫で方を整理します。場所が合っていても、やり方を間違えると台無しになってしまうので、ここは丁寧に押さえておきましょう。
NG①頭をわしわし・上から手を出す
一番多い失敗が、可愛さのあまり頭を上からわしわし撫でることです。人にとっては愛情表現でも、犬にとって頭上から来る手は視界をふさぎ、本能的な警戒を招きます。ある飼い主さんは、散歩で出会った初対面の犬に「可愛い」と頭の上から手を伸ばした結果、犬に一歩下がられて固まらせてしまいました。原因は「上から・頭から」という触り方。対策は、頭ではなく胸や顎の下から、犬の視界に手が見える形でアプローチすることです。よその犬を撫でるときは必ず飼い主さんに許可を取り、犬自身がにおいを嗅いで受け入れてから触れる——この順番を守るだけで、嫌がられる確率はぐっと下がります。
NG②力の入れすぎ・撫で続けすぎ
力の入れすぎと、延々と撫で続けるのもよくあるNGです。ゴシゴシ強くこする、パンパン強めに叩く、毛を逆立てる方向にこするといった撫で方は、犬にとって刺激が強すぎて心地よさを通り越します。また、犬が満足しているのに構いたさで撫で続けると、うっとうしく感じてその場を離れてしまうことも。撫でるときは「弱め・毛の流れに沿って・短めに区切る」が基本です。犬が「もっと」と寄ってくるなら続け、興味が離れたらいったん終える。この引き際の良さが、犬に「撫でられるのは心地よい」と印象づけます。長さより質、強さよりリズムを意識しましょう。
正しい撫で方の手順|場所・強さ・時間
正しい撫で方は、手順にすると分かりやすくなります。①犬の正面か横から、視界に手が見える位置でアプローチする。②いきなり頭ではなく、胸や顎の下から始める。③指の腹を使い、毛の流れに沿ってゆっくり撫でる。④3〜5秒撫でたら一度手を止め、犬の反応を確かめる(同意テスト)。⑤寄ってきたら続け、離れたら終える。強さは「自分の目元を触れるくらいの優しさ」が目安です。この流れを守れば、部位選びで多少外しても犬に嫌われることはまずありません。毎日のスキンシップで繰り返すうちに、その子だけの「ごくらく部位」と心地よいリズムが自然と分かってきます。
実は「撫でない勇気」も立派な愛情
意外と知られていないのですが、撫でないでそっとしておくことも、犬への愛情のひとつです。飼い主はつい「可愛いから触りたい」という自分の気持ちで手を伸ばしがちですが、犬にも「今はひとりで休みたい」タイミングがあります。ごはんの直後、ぐっすり眠っているとき、暑くてハアハアしているとき——こうした場面で無理に撫でると、犬はゆっくりできません。犬が自分の居場所で落ち着いているなら、あえて手を出さずに見守る。そして犬のほうから寄ってきたときにたっぷり応える。この「引く」と「応える」のメリハリがある人ほど、実は犬から信頼され、結果的にたくさん甘えてもらえます。撫でる愛情と、撫でない愛情。両方を使い分けられるのが、犬に好かれる飼い主です。
| 好かれる撫で方 | 嫌われる撫で方 |
|---|---|
| 胸・顎の下から始める 指の腹で毛の流れに沿う 数秒で区切って反応を見る 寄ってきたら応える | 頭を上からわしわし 力を入れてゴシゴシ 嫌がるサインを無視して継続 寝ている・食事中に触る |
まとめ|犬が撫でられて嬉しい所は「自分で届かない部位」から
犬が撫でられて嬉しい所は、耳の付け根・顎の下・眉間・胸・首・背中・腰の7か所に集中しています。共通するのは、いずれも犬が自分では舐めて手入れできない部位だということ。仲間同士で毛づくろいをし合ってきた習性と、撫でられて分泌される安心のホルモンが、その心地よさを支えています。逆に、マズル・足先・しっぽ本体・お腹などは触られたくない子も多く、部位選び以上に「犬が今それを望んでいるか」を読み取ることが何より大切です。
今日から実践するなら、次のポイントを意識してみてください。
- 撫でるのは「自分で届かない部位」=顔まわりから前半身を中心に
- 初対面はまず胸や顎の下から、下から手を出す
- 頭を上からわしわしは避け、眉間は信頼できてから
- 3〜5秒で手を止め、寄ってくるか反応を見る「同意テスト」
- あくび・顔そむけ・体を固くするサインが出たら手を止める
- 体格・年齢に合わせて強さを調整し、シニアは軽くさする程度に
- ときには撫でない勇気で、犬のペースを尊重する
まずは今夜、愛犬の顎の下と胸をそっと撫でて、目を細めるか・体を寄せてくるかを観察するところから始めてみましょう。7か所を順に試して反応を記録していけば、その子だけの「ごくらく部位マップ」が完成します。正しい部位を、犬が望むタイミングで、望む強さで——これがそろえば、毎日のスキンシップは犬との絆をいっそう深める時間になります。撫で方や気持ちのサインについては、関連記事もあわせて役立ててください。
※犬の様子にいつもと違う変化(触ると痛がる、うなる、避けるなど)が続く場合は、自己判断せず獣医師に相談しましょう。

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