ソファでくつろいでいると、愛犬がすすっと寄ってきて顔をペロペロ。うれしい反面、「これって何かのサインなの?」「毎回だと少し困る…」と感じている飼い主さんは多いはずです。犬が顔を舐めてくる行動には、実はいくつもの気持ちが隠れています。
結論から言うと、犬が顔を舐めてくる一番の理由は「大好き」「信頼しているよ」という愛情表現です。ただし、それだけではありません。かまってほしい催促、不安を落ち着かせるためのシグナル、あなたの口元の匂いや味への反応など、場面によって意味が変わります。理由を取り違えると、良かれと思った対応が逆効果になることもあります。
この記事では、犬が顔を舐めてくる6つの理由を場面別に整理し、舐める場所でわかる気持ちの違い、衛生面との付き合い方、しつこいときに穏やかにやめさせる5ステップ、さらに子犬・成犬・シニアの年齢別の違いまでまとめて解説します。愛犬の「ペロペロ」の本音を、犬仲間と話すような目線で読み解いていきましょう。
・犬が顔を舐めてくる6つの理由と、場面ごとの見分け方
・顔・口・手・耳など「舐める場所」で変わる気持ちの違い
・しつこく舐めてくるときに、叱らず穏やかにやめさせる5ステップ
・子犬・成犬・シニアで変わる、舐める行動の意味と対応のコツ
犬が顔を舐めてくるのは「大好き」のサイン|まず知りたい基本の心理
犬が顔を舐めてくる行動の土台にあるのは、愛情と信頼です。まずは「なぜ犬はそもそも顔を舐めるのか」という根っこの部分を押さえておくと、あとで紹介する個別の理由もぐっと理解しやすくなります。犬にとって舐める行動は、言葉を持たない彼らなりの大切なコミュニケーション手段なのです。
顔を舐めるのは信頼できる相手にだけ見せる愛情表現
犬が顔を舐めてくる最大の理由は、「あなたが大好きで、信頼している」という気持ちの表現です。犬は誰にでも顔を舐めるわけではありません。警戒している相手や苦手な人には、まず近づこうとすらしません。顔という無防備な場所に自分から近づき、舐めてくるのは、相手を安心できる存在だと認めている証拠です。群れで暮らしていた犬の祖先は、仲間との絆を確かめ合うために体を舐め合っていました。その名残で、家族という「群れ」の一員であるあなたに愛情を伝えているわけです。「最近あまり構えていなかったな」という日ほど熱心に舐めてくる子もいて、これはスキンシップを求めるサインでもあります。舐められて困る場面でなければ、まずは「好かれている合図」として受け止めてあげましょう。
母犬に舐められて育った習性が根っこにある
顔を舐める行動のルーツは、子犬時代の体験にあります。生まれたばかりの子犬は、母犬に全身を舐めてもらいながら育ちます。母犬は子犬の体を清潔に保ち、排泄を促し、そして舐めることで「大丈夫だよ」と安心感を与えます。子犬にとって「舐める・舐められる」は、愛情と安心がワンセットになった原体験なのです。この習性が成犬になっても残り、信頼する相手に対して「あなたを大切に思っているよ」という気持ちを、舐めることで表現するようになります。特に母犬や兄弟犬と過ごす時間が長かった子は、この傾向が強く出やすい傾向があります。人の顔を舐めるのは、あなたを「群れの大切な仲間」として扱っている、とても自然な行動だと考えてよいでしょう。
口元を舐めるのは犬社会の「あいさつ」でもある
顔の中でも特に口元を狙って舐めてくるなら、それは犬社会に古くからあるあいさつ行動の名残です。野生の犬の子どもは、狩りから帰ってきた母犬の口元を舐めて、食べ物を吐き戻してもらっていました。この「口元を舐める=親愛と要求のあいさつ」という行動が、家庭犬にも受け継がれています。つまり、あなたの口元を舐めるのは「あなたは頼れるリーダーです」「大好きです」というあいさつと甘えが混ざった表現なのです。来客のあとや、あなたが外出から帰ってきた直後にペロペロが増えるのも、久しぶりのあいさつをしているから。ただし口元を舐めさせるのは衛生面で気になる人も多いので、あとの章で紹介する付き合い方も参考にしてください。
犬同士があいさつするとき、相手の口角を軽く舐める仕草を見かけます。これは「敵意はないよ」「あなたを立てているよ」という穏やかなメッセージ。人の顔を舐めるのも、この犬社会のあいさつ文化がベースになっています。
犬の愛情表現は舐める行動だけではありません。しっぽの振り方や体の預け方など、全身で「好き」を伝えてくれています。あわせて読むと愛犬の気持ちがもっと立体的に見えてきます。

「うちの犬、私のことどう思ってるんだろう?」と考えたことはありませんか。犬は言葉を話せませんが、体全体を使って「好き」をちゃんと伝えています。しっぽの振り方、目…
犬が顔を舐めてくる6つの理由を場面別に解説
「大好き」が土台にあるとはいえ、犬が顔を舐めてくる理由は状況によって少しずつ違います。ここでは代表的な6つの理由のうち、愛情・要求に関わる3つを場面別に見ていきましょう。同じペロペロでも、タイミングや前後の行動を観察すると本音が見えてきます。
①愛情と安心を伝えたいとき
もっとも多いのが、純粋に「好き」「安心する」という気持ちを伝えたいケースです。あなたがくつろいでいるとき、名前を呼んだとき、目が合ったときなどに、そっと近づいて舐めてくるならこのタイプ。理由は前章で触れた通り、群れの仲間との絆を確かめる本能に根ざしています。リラックスした表情で、しっぽを大きくゆったり振りながら舐めてくるのが特徴です。この場合は無理に止める必要はなく、優しく声をかけたり体をなでたりして応えてあげると、犬の満足度が高まります。ただし顔中を舐めさせ続けると、犬が「舐めれば必ず構ってもらえる」と学習して要求がエスカレートすることも。愛情を受け取りつつ、数秒で切り上げてなでる方に切り替えると、ちょうどよい距離感を保てます。
②かまってほしい・遊んでほしい要求のとき
あなたが忙しくしているときや、スマホに集中しているときに限って顔を舐めてくるなら、「こっち見て!」という要求のサインです。犬は過去の経験から「舐めると飼い主が反応してくれる」と学んでいます。舐めた瞬間にあなたが笑ったり声をかけたりすると、それが犬にとってのご褒美になり、要求としての舐めが定着していきます。子犬期や運動量の多い犬種で、エネルギーが有り余っているときにも出やすい行動です。対処のコツは、舐めてきた瞬間に大げさに反応しないこと。落ち着いているときにこちらから遊びや散歩に誘い、「舐めなくても構ってもらえる」と教えるのが遠回りに見えて近道です。やりがちな失敗は、舐められて「ダメでしょ!」と声を荒げること。犬にとっては構ってもらえた成功体験になり、逆に増えてしまいます。
③ごはんやおやつの催促、味や匂いへの反応のとき
食事の前後や、あなたが何かを食べた直後に口元を熱心に舐めてくるなら、味や匂いに反応している可能性が高いです。犬の嗅覚は人の数千倍とも言われ、口元にわずかに残った食べ物の匂いも敏感にキャッチします。「その匂いのもの、私にもちょうだい」という催促や、単純に「おいしそうな匂いがする」という好奇心から舐めていることがあります。また、汗をかいた肌のほんのり塩気のある味を好んで舐める子もいます。対処としては、食べた直後は口元を近づけすぎないこと、そして催促に毎回応えないことが大切です。催促のたびにおやつを与えると、要求がどんどん強くなります。食後は軽く口周りを拭いておくと、匂いにつられた舐めを減らせます。
同じ「顔を舐める」でも、リラックス時なら愛情、あなたが忙しいときなら要求、食後なら味への反応、と場面で意味が変わります。舐める前後の犬の様子とタイミングをセットで観察すると、本音を読み違えにくくなります。
不安やストレスが原因のことも|見逃したくない3つの理由
顔を舐めてくる理由はうれしいものばかりではありません。犬が自分の気持ちを落ち着けようとしていたり、緊張していたりするサインのこともあります。ここでは残りの3つの理由を見ていきましょう。回数が急に増えたときほど、こうした背景を疑ってみる価値があります。
④不安を落ち着かせるカーミングシグナルのとき
犬が舐める行動には、自分や相手の緊張をやわらげる「カーミングシグナル」としての意味もあります。カーミングシグナルとは、犬がストレスや不安を感じたときに、自分を落ち着かせたり相手をなだめたりするために見せる仕草のこと。あなたが叱った直後や、来客・工事の音などで緊張している場面で、しきりに顔や口の周りを舐めてくるなら、この可能性があります。「怒らないで」「落ち着こうね」という気持ちの表れです。このときに強い口調で止めると、犬はさらに不安を感じて舐めが増える悪循環に陥りがち。まずはあなた自身が声のトーンを落とし、犬が安心できる環境を整えてあげましょう。不安の原因になっている音や状況を取り除くことが根本的な対処になります。
⑤服従とあいさつの気持ちを示すとき
あなたが帰宅した直後や、久しぶりに会った家族に対して腰を低くしながら顔を舐めてくるのは、あいさつと敬意の表現です。犬社会では、目下の犬が目上の犬の口元を舐めて「あなたを立てています」と伝える習慣があります。家庭では、犬があなたを信頼できるリーダーだと認めているからこそ、この行動が出ます。耳を後ろに倒し、体を低くして、しっぽを小刻みに振りながら近づいてくるのが典型的なサインです。これはネガティブなものではなく、良好な関係が築けている証拠。過度に興奮して飛びつきながら舐める場合だけは、落ち着いてから構うようにして、興奮とあいさつを切り分けて教えてあげると、玄関先での大騒ぎを防げます。
⑥退屈や常同行動のサインになっているとき
特に理由が見当たらないのに、ずっと同じように舐め続ける場合は、退屈や欲求不満のサインかもしれません。散歩や遊びが足りずエネルギーが発散できていないと、犬は手持ちぶさたから舐める行動を繰り返すことがあります。これがクセになると、飼い主だけでなく自分の前足やソファなどを延々と舐める常同行動につながることも。対処の基本は、運動量と頭を使う遊びを増やして、犬が満たされる時間を作ることです。知育トイやノーズワークなど、鼻と頭を使う遊びは短時間でも満足度が高くおすすめ。あまりに長時間、同じ場所を舐め続けて皮膚が気になるような場合は、生活環境を見直したうえで、気になるときは獣医師に相談しましょう。
「これまでほとんど舐めなかった子が、急に何度も舐めるようになった」という変化は、不安やストレスのサインであることが少なくありません。叱って止めるのではなく、生活の中で何か変わったこと(引っ越し・家族構成・音環境など)がなかったかを振り返ってみてください。
舐める場所でわかる気持ちの違い|顔・口・手・耳
犬は顔だけでなく、手や耳、足など体のいろいろな場所を舐めてきます。実は「どこを舐めるか」でも込められた気持ちが少しずつ違います。ここでは場所別の意味を、プロドッグ独自の観察データとあわせて整理します。愛犬がよく舐める場所を思い浮かべながら読んでみてください。
顔・口元を舐めるのは愛情とあいさつが中心
これまで見てきた通り、顔や口元を舐めるのは愛情・信頼・あいさつが中心の行動です。無防備な顔に近づけるのは、相手を心から信頼している証拠。特に口元は、犬社会のあいさつ文化と直結した特別な場所です。目が合ってうれしそうに近づいてくるなら愛情、帰宅時に腰を低くして舐めるならあいさつ、と前後の様子で見分けられます。顔まわりは衛生面が気になる場所でもあるので、受け止めつつも回数はほどほどに調整するのが現実的です。舐めさせたくないときは、後述するように顔をそっと引いて、なでる方へ気持ちを切り替えてあげましょう。
手をよく舐めるのは甘えと安心の合図
手や指を舐めてくるのは、甘えたい・かまってほしいという気持ちの表れです。手はあなたが犬をなでたりごはんをあげたりする、犬にとって「良いこと」と結びついた場所。だからこそ、手を舐めて「もっと構って」「安心する」というメッセージを送ってきます。ソファで隣に座っているときに手をペロペロするのは、リラックスして甘えている典型的な場面です。また、手に残った食べ物の匂いや、汗の塩気に反応して舐めることもあります。過度に神経質になる必要はありませんが、舐めさせ続けると要求がエスカレートする点は顔と同じ。数秒で切り上げてなでてあげると、心地よい距離感を保てます。
耳や足を舐めるのは信頼とリラックスの証
耳や足といった、普段あまり注目しない場所を舐めてくるのは、深い信頼とリラックスのサインです。特に耳は犬同士が親しい間柄で舐め合う場所で、家族に対して耳を舐めるのは「あなたは特別な仲間」という気持ちの表れ。眠る前や、ゆったり過ごしているときに出やすい穏やかな行動です。一方で、自分の前足を延々と舐める場合は、退屈やストレス、あるいは肉球周りが気になっているサインのことも。相手を舐めるのか自分を舐めるのかで意味が大きく変わるので、対象を見極めるのがポイントです。自分の同じ場所ばかりを長く舐め続けるようなら、生活環境を見直しつつ、気になるときは獣医師に相談すると安心です。
| 舐める場所 | 主な気持ち | 出やすい場面 |
|---|---|---|
| 顔・口元 | 愛情・あいさつ | 目が合ったとき・帰宅時 |
| 手・指 | 甘え・要求 | 隣でくつろいでいるとき |
| 耳 | 深い信頼・親愛 | 就寝前・安心しているとき |
| 自分の前足 | 退屈・気になる部位 | ひとりで手持ちぶさたなとき |
※プロドッグ調べ。舐める対象と場面の傾向を整理したものです。個体差があります。
口元を舐めてくる行動は、顔全体を舐めるのとはまた少しニュアンスが違います。口まわりに特化した本音ややめさせ方は、こちらの記事で詳しくまとめています。

「ソファでくつろいでいたら、愛犬がスッと顔を近づけて口元をペロペロ……」「帰宅した瞬間に飛びついて口を舐めてくる」。犬を飼っていると、口を舐めてくる行動に毎日の…
顔を舐めさせるのは大丈夫?衛生面と付き合い方のリアル
愛情表現とはいえ、「毎回顔を舐めさせて平気なの?」と気になる飼い主さんは多いはずです。ここでは、犬に顔を舐めさせることの付き合い方を、感情論ではなく現実的な視点で整理します。過度に怖がる必要はありませんが、知っておくと安心できるポイントをまとめました。
基本は問題ないが、口元は控えめにするのが無難
健康な犬に手や腕を舐められる程度であれば、過度に心配する必要はありません。多くの家庭で犬とのスキンシップは日常的に行われています。ただし、口元や唇を直接舐めさせるのは、衛生面から控えめにしておくのが無難です。特に免疫力が下がっている人や、小さなお子さん、高齢のご家族がいる家庭では、顔を舐めさせる場面を減らす工夫をしておくと安心。舐められたあとに顔を洗ったり手を洗ったりする習慣をつけておけば、必要以上に神経質にならなくても大丈夫です。「絶対ダメ」でも「無制限でOK」でもなく、家庭の状況に合わせてほどよい線引きをするのが現実的な付き合い方です。
舐めさせたくない場面での上手なかわし方
顔を舐めさせたくないときは、犬を叱るのではなく、そっとかわすのがコツです。舐めてきたら顔を静かに引いて、代わりに手であごの下や胸元をなでてあげましょう。犬は「顔じゃなくてもスキンシップできる」と学び、少しずつ顔を狙わなくなります。立ち上がって別の場所へ移動し、落ち着いたら呼び寄せてなでる、という切り替えも効果的です。大切なのは、拒否するときに感情的にならないこと。犬にとって舐めるのは愛情表現なので、強く拒絶されると混乱してしまいます。「舐めるのはダメだけど、あなたのことは大好きだよ」という気持ちが伝わるよう、なでる・声をかけるといった別のスキンシップとセットで教えてあげるのが理想です。
子どもがいる家庭で気をつけたいこと
小さなお子さんがいる家庭では、犬が子どもの顔を舐める場面に少し配慮しておくと安心です。子どもは犬との距離が近く、顔を舐められる機会も多くなりがち。犬に悪気はなくても、興奮して勢いよく飛びつきながら舐めると、小さな子どもが転んでしまうこともあります。犬が落ち着いているときにあいさつさせる、興奮しているときは一度クールダウンさせる、といったルールを家族で共有しておきましょう。また、舐められたあとは手や顔を洗う習慣を子どもにも教えておくと、衛生面でも安心です。犬と子どもが良い関係を築くためにも、大人が間に入って「心地よい距離感」を調整してあげることが大切です。
しつこく舐めてくるのを穏やかにやめさせる5ステップ
愛情表現とはいえ、四六時中舐められると困ってしまいますよね。ここでは、犬を傷つけずに舐めの回数を減らしていく5つのステップを紹介します。ポイントは「叱らない」こと。叱ると逆効果になる理由も含めて、順番に見ていきましょう。
ステップ1〜2:反応せず、静かにその場を離れる
最初のステップは、舐めてきたときに大きく反応しないことです。犬は「舐めると飼い主が構ってくれる」と学習して舐めを繰り返します。だからこそ、舐めてきた瞬間に笑ったり声をかけたりせず、無反応を貫くのが第一歩。それでも続くようなら、ステップ2として静かに立ち上がり、その場をそっと離れます。「舐めると楽しい時間が終わってしまう」と犬が学べば、行動は自然に減っていきます。このとき、ため息をついたり「もう!」と声を出したりするのはNG。犬にとってはそれも反応の一つで、構ってもらえたと勘違いしてしまいます。無言・無表情で、淡々と距離を取るのがコツです。数日から数週間、根気よく続けることで効果が出てきます。
ステップ3〜4:別の行動を教えて、褒めて切り替える
舐めをやめさせるだけでなく、代わりの行動を教えるとぐっとうまくいきます。ステップ3では、犬が舐めそうになったら「おすわり」や「マット(自分の場所で待つ)」など、両立できない別の指示を出します。犬はおすわりしながら顔を舐めることはできないので、自然と舐めが止まります。そしてステップ4が最重要で、指示に従えたら3秒以内にすかさず褒めておやつやなでなでのご褒美を与えます。「舐めるより、おすわりして待つ方が良いことがある」と犬に学習させるのです。1日5分×2〜3セットを目安に、遊びの延長で楽しく取り組むのがコツ。叱って止めるより、望ましい行動を褒めて増やす方が、犬も飼い主もストレスなく続けられます。
ステップ5:根本のエネルギー不足・不安を解消する
最後のステップは、舐めの根っこにある欲求不満や不安を解消することです。散歩や遊びが足りないと、犬は有り余ったエネルギーのはけ口として舐める行動を繰り返します。まずは散歩の時間や運動量を見直し、知育トイやノーズワークなど頭を使う遊びを日常に取り入れましょう。心と体が満たされている犬は、そもそもしつこく舐める必要がなくなります。また、留守番中の不安や生活環境の変化がストレス源になっている場合は、その原因を取り除くことが根本的な解決につながります。テクニックだけでなく、犬の生活全体を整えることが、遠回りに見えていちばん確実な近道です。
舐められて「ダメ!」と大声で叱ったら、かえって舐める回数が増えてしまった——これはよくある失敗です。犬にとっては「反応してもらえた=成功」で、叱り声すらご褒美になってしまいます。さらに、不安から舐めている子は叱られてもっと不安になり、悪循環に。止めたいときこそ、無反応と切り替えで対応しましょう。
叱るより褒めて教える——このコツは舐め以外のしつけ全般に共通します。犬が喜ぶなで方を知っておくと、ご褒美としてのスキンシップの質が上がり、しつけ全体がスムーズになります。

「うちの子、撫でると気持ちよさそうにするのに、ときどき急に顔をそむける」「頭をなでなでしたら、なんだか嫌そうな顔をされた」——犬の撫で方って、なんとなくでやって…
子犬・成犬・シニアで変わる舐める理由と対応のコツ
顔を舐めてくる理由は、犬の年齢によっても少しずつ変わります。同じ「ペロペロ」でも、子犬・成犬・シニアで背景が異なるため、対応も変えてあげると効果的です。ここでは年齢別の特徴と、それぞれで気をつけたいポイントを整理します。愛犬のライフステージに合わせて読み替えてみてください。
子犬期:あいさつと社会化の真っただ中
子犬が顔を舐めてくるのは、母犬や兄弟犬とのやりとりの延長で、あいさつと甘えが中心です。この時期の犬は「舐める=コミュニケーション」の真っ最中で、人にも同じようにあいさつしてきます。かわいくてつい全部受け入れたくなりますが、ここで「舐めれば何でも構ってもらえる」と覚えさせると、成犬になってから要求が強くなりがち。子犬のうちから、落ち着いているときに構う・興奮しているときは少し待つ、というメリハリを教えておくと、将来のしつけがぐっと楽になります。社会化期でもあるので、舐めを叱って怖がらせるのは避け、望ましい行動を褒めて伸ばす方針で接しましょう。歯の生え変わり時期はムズムズから舐めや甘噛みが増えることもあります。
成犬期:習慣化した要求のクセに注意
成犬が顔を舐めてくる場合、これまでの習慣が定着していることが多いです。愛情表現として自然に舐める子もいれば、「舐めれば構ってもらえる」という学習が強く根付いて、要求として舐める子もいます。成犬は体力もあり、要求も一段とはっきりしてくる時期。困っているなら、前章の5ステップで少しずつ習慣を修正していきましょう。逆に、これまで穏やかだった成犬が急に舐める回数を増やした場合は、生活環境の変化や不安が背景にあることも。「いつもと違う」と感じたら、叱るより先に原因を探ってあげてください。成犬期は関係性が安定する時期でもあるので、良い習慣を根気よく育てていくのに向いています。
シニア期:安心を求めるサインを大切に
シニア犬が顔を舐めてくるのは、安心感を求める気持ちが強く表れていることが多いです。年齢を重ねると、目や耳が衰えて不安を感じやすくなり、信頼する家族に寄り添って舐めることで落ち着こうとします。この時期の舐めは、無理にやめさせようとせず、そっと受け止めてあげたい行動です。ただし、これまでと様子が明らかに違う、同じ場所を執拗に舐め続ける、といった変化が見られる場合は、体調のサインが隠れていることもあります。シニア期は小さな変化を見逃さないことが大切なので、「いつもと違う」と感じたら生活環境を整えたうえで、気になるときは早めに獣医師へ相談しましょう。安心を求めるペロペロには、優しく応えてあげてください。
「顔を舐める=100%愛情」と思われがちですが、意外と知られていないのは、不安やストレスから舐めているケースが一定数あるということ。うれしそうに舐めているのか、緊張して落ち着こうと舐めているのかは、しっぽや耳、体の力の入り方でまるで違います。ペロペロを「愛情だけ」と決めつけず、全身の様子とセットで読み取ってあげると、愛犬の本音により近づけます。
まとめ|犬が顔を舐めてくるのは愛情を土台にした大切なサイン
犬が顔を舐めてくる行動は、「大好き」「信頼しているよ」という愛情を土台にした、彼らなりの豊かなコミュニケーションです。母犬に舐められて育った習性や、群れの仲間とのあいさつ文化が根っこにあり、そこに「かまって」「おいしそう」「落ち着きたい」といったさまざまな気持ちが重なって、あのペロペロが生まれます。理由を場面で見分け、舐める場所ごとの意味を知っておけば、愛犬の本音がぐっと読み取りやすくなります。
大切なのは、舐める行動を頭ごなしに叱らないこと。叱ると「構ってもらえた」と勘違いされたり、不安がさらに強まったりして逆効果になります。困っているなら、無反応と切り替え、別の行動を褒めて教える、そして根本のエネルギー不足や不安を解消する、という順番で穏やかに向き合っていきましょう。
・顔を舐めてくる一番の理由は「愛情・信頼」。信頼する相手にだけ見せる行動
・理由は6つ(愛情/要求/味・匂い/カーミングシグナル/あいさつ・服従/退屈)
・舐める場所(顔・手・耳・自分の足)で込められた気持ちが変わる
・口元を舐めさせるのは衛生面から控えめに、家庭の状況で線引きを
・やめさせたいときは叱らず「無反応→別の行動を褒める→根本解消」の順で
・子犬はあいさつ、成犬は習慣、シニアは安心。年齢で意味と対応を変える
まずは今日から、愛犬が顔を舐めてきたときに「どんな場面か」「しっぽや耳はどうか」を観察することから始めてみてください。ペロペロの本音が読み取れるようになると、愛犬とのコミュニケーションはもっと楽しく、深いものになります。困った行動として無理に消そうとするのではなく、愛情のサインとして受け止めつつ、心地よい距離感を一緒に育てていきましょう。なお、同じ場所を執拗に舐め続けるなど気になる様子があるときは、自己判断せず獣医師に相談すると安心です。
※本記事の内容は一般的な情報です。愛犬の様子で気になる点がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
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