「うちの子、せっかく買ったベッドで寝てくれない」「夜中によく場所を移動している気がする」——犬の寝床について、こんなモヤモヤを抱えている飼い主さんは少なくありません。実は犬が寝床を気に入るかどうかは、ベッドの値段や見た目ではなく、置く「場所」と「環境の整え方」でほぼ決まります。
犬は1日のうち半分以上を眠って過ごす動物です。だからこそ、安心して体を預けられる寝床があるかどうかは、愛犬の落ち着きや問題行動の出にくさにまで関わってきます。逆に言えば、寝床を整えるだけで「夜鳴きが減った」「日中もぐっすり休むようになった」というケースは珍しくありません。
この記事では、犬が「ここなら安心」と思える寝床の条件、クレートやベッドの選び方、夏と冬で変える整え方、子犬からシニアまでの年齢別のコツ、そして「寝床で寝てくれない」ときの直し方まで、ドッグランで犬仲間に教えるような感覚でまとめました。今日から手を動かせる内容だけを集めています。
・犬が安心して眠れる寝床の「場所の4条件」
・クレート・ベッド・サークルの選び分けとサイズの決め方
・夏と冬で変える季節別の整え方
・子犬・成犬・シニアそれぞれの寝床づくりと、寝てくれないときの対処法
犬にとって寝床が大事な理由|1日の半分以上を眠って過ごす

まず押さえておきたいのは、犬は人間よりずっと長く眠る動物だということです。寝床は単なる「寝る場所」ではなく、犬が緊張を解いて体と心を回復させる拠点になります。ここがうまく機能していないと、睡眠の質が下がり、日中の落ち着きのなさや要求吠えにつながることもあります。
成犬は1日12〜14時間眠る|人間の睡眠とは構造が違う
結論から言うと、健康な成犬(2〜7歳)の睡眠時間は1日およそ12〜14時間が目安です。人間の感覚だと「寝すぎ?」と思うかもしれませんが、これは犬にとってごく自然な長さです。理由は犬の睡眠構造にあります。犬は外敵に備える本能の名残から、深い眠り(ノンレム睡眠)の割合が人間より少なく、浅い眠りを何度もはさみながら休みます。物音ですぐ目を覚ますのはこのためです。だからこそ、ちょっとした刺激で起きにくい静かな寝床が必要になります。リビングのテレビ前など人の動きが多い場所に寝床を置くと、横になっていても細切れにしか眠れず、結果として疲れが抜けにくくなります。寝床は「長く横になれる場所」ではなく「深く眠れる場所」を基準に考えるのがポイントです。
子犬は18〜20時間、シニアも睡眠が増える
年齢によって必要な睡眠時間は大きく変わります。生後6カ月までの子犬は1日18〜20時間、シニア犬(7歳以上)もおよそ12〜18時間と、成犬より長く眠るのが普通です。子犬がよく寝るのは、起きている時間に得た情報を脳で整理し、体を成長させるために睡眠が欠かせないからです。遊んでいたかと思えば急にパタッと寝るのも自然な姿で、無理に起こす必要はありません。シニア犬は体力が落ちて活動と休息のメリハリがゆるやかになり、こまめに眠る時間が増えていきます。つまり、同じ家の中でも年齢が変われば寝床に求めるものも変わるということです。やりがちな失敗が「子犬のうちに買ったベッドをずっと使い続ける」こと。体が大きくなったり関節がデリケートになったりすれば、寝床も見直すのが自然です。

| 年齢 | 睡眠時間の目安 | 寝床で意識したいこと |
|---|---|---|
| 子犬(〜6カ月) | 18〜20時間 | 安心感・誤飲しない素材 |
| 成犬(2〜7歳) | 12〜14時間 | 静けさ・適度な広さ |
| シニア(7歳〜) | 12〜18時間 | 段差なし・床ずれ対策 |
※睡眠時間は一般的な目安です(プロドッグ調べ・各年齢の平均をもとに整理)。
寝床が落ち着かないと、こんなサインが出る
寝床の環境が合っていない犬には、わかりやすいサインが出ます。よくあるのが「寝る場所をコロコロ変える」「床のひんやりした所ばかり選ぶ」「ベッドに入らず端っこや隅で丸まる」といった行動です。これらは多くの場合、今の寝床が暑い・寒い・落ち着かないという不満のあらわれです。たとえば夏に分厚いふかふかベッドだけを置いていると、犬は熱がこもるのを嫌ってフローリングに移動します。逆に冬に冷たい床へ直接寝床を置くと、体が冷えて浅い眠りになりがちです。寝る場所を頻繁に変えるのは「わがまま」ではなく「ここは快適じゃない」という体からのメッセージだと受け取りましょう。サインに気づいたら、まず温度と置き場所を疑うのが近道です。
犬がベッドの上でクルクル回ってから寝るのは、野生時代に草を踏み倒して寝床を整えていた習性の名残と言われています。新しい寝床で何度も回るのは「ここを自分の場所にしよう」としているサインでもあります。
落ち着く寝床の場所選び|「ここなら安心」と犬が思える4条件
寝床づくりで最も差が出るのが「どこに置くか」です。同じベッドでも置く場所を変えるだけで、寝つきがガラッと良くなることがあります。犬が安心して眠れる場所には、共通する4つの条件があります。順番に見ていきましょう。
条件1:家族の気配を感じられる「半個室」にする
結論として、犬の寝床は家族の生活空間が見える場所に置くのがおすすめです。犬は群れで暮らしてきた動物なので、仲間(家族)の気配が感じられる場所だと安心して眠れます。完全に隔離された別室や物置のような場所だと、孤独を感じて落ち着きません。一方で、人通りの真ん中に置くと刺激が多すぎて休まらないため、理想は「リビングの隅」のような半個室です。家族の姿は見えるけれど、自分は壁や家具で囲まれていて、いつでも一歩引ける——この距離感が犬にとってのちょうどよさです。やりがちなのが「寂しがるから」とベッドのすぐ横や通り道に置いてしまうこと。これだと人が通るたびに気が散り、かえって深く眠れません。見える、でも巻き込まれない。この立ち位置を意識して場所を決めましょう。
条件2:直射日光と隙間風を避ける
温度の安定する場所を選ぶことも大切です。窓際は日中に直射日光が当たって暑くなりすぎ、夜や冬は窓から冷気が伝わって冷えるため、一日を通して温度差が大きくなります。同じくドアの近くや廊下沿いは、人の出入りのたびに隙間風が通り抜け、犬が体を冷やしやすい場所です。寝床は部屋の中でも温度変化が少ない「内側の壁ぎわ」に置くのが基本になります。エアコンの風が直接当たる位置もNGで、冷たい風が一晩中体に当たると、横になっていても休まりません。判断に迷ったら、自分がその場所に座ってみて「ここで昼寝したいか」を基準にすると分かりやすいです。人が快適だと感じる温度帯は犬にとっても目安になり、室温22度前後・湿度50%前後が一つのめやすとされています。
条件3:生活動線とトイレから少し離す
意外と見落とされがちなのが、寝床とトイレの距離です。犬はきれい好きな動物で、眠る場所と排泄する場所が近すぎるのを嫌います。サークル内に寝床とトイレを並べて置くと、「ここで寝るとトイレが近くて落ち着かない」と感じ、どちらかを使わなくなることがあります。できれば寝床とトイレは対角線上に離す、あるいはサークルを広めにとって距離を確保しましょう。また、キッチンと通路をつなぐ動線の真上など、家族が頻繁に行き来する場所も避けたいポイントです。落ち着いて寝ようとするたびに人が通ると、犬は気を張り続けてしまいます。「寝床」「トイレ」「人の通り道」の3つは、それぞれ少しずつ距離を置くのが理想の配置です。
「夏は涼しい所、冬は暖かい所」と良かれと思って寝床の場所を頻繁に変えると、犬は「自分の決まった場所」を覚えられず、落ち着き先を失ってしまいます。あるご家庭では、月に何度もベッドを移動させた結果、犬がソファ裏に隠れて寝るようになってしまいました。季節で微調整するのは良いことですが、基本の定位置は1カ所に固定し、動かすときも数日かけて少しずつずらすのがコツです。
犬の寝床は何を使う?クレート・ベッド・サークルの選び方

場所が決まったら、次は中身です。寝床に使うアイテムはクレート(箱型のハウス)、ベッド、サークルの大きく3種類。それぞれ得意なことが違うので、愛犬の性格や暮らし方に合わせて選びます。組み合わせて使うのもおすすめです。
落ち着きやすさで選ぶならクレートが寝床向き
結論から言うと、安心して眠れる寝床という観点ではクレートが向いています。理由は、屋根と壁で四方が囲まれた狭い空間が、巣穴で休んでいた犬の本能に合うからです。広い部屋にポツンとベッドを置くより、適度に囲まれた空間のほうが「守られている」と感じて深く眠れます。クレートにはソフトタイプとハードタイプがあり、自宅の寝床として据え置くなら、しっかり囲われて安定するハードタイプが扱いやすいです。折りたためるソフトタイプは持ち運びや車移動に便利なので、お出かけ用と使い分けるのも手です。注意点は、クレートを「閉じ込めるための檻」と勘違いさせないこと。普段から扉を開けっぱなしにして、自分から入れば良いことがある場所にしておくと、犬は自分の寝床として受け入れてくれます。
ベッドは「寝相」に合わせて形を選ぶ
ベッド単体やクレートの中敷きとして使う場合は、愛犬の寝相に合わせて形を選ぶのがコツです。体を丸めて寝る犬やフチに顎を乗せるのが好きな犬には、4辺が盛り上がった「カドラー型」が向いています。包み込まれる安心感があり、頭を預けやすいのが特徴です。手足を伸ばしてのびのび寝る犬には、起伏のない「マットレス型」が快適。寒がりな犬や暗くて狭い所が好きな犬には、屋根まで覆われた「ドーム型」が保温性も高くおすすめです。逆に、暑がりな犬や夏場にドーム型だけを使うと熱がこもるので、季節で中身を入れ替える前提で選ぶと失敗しません。愛犬がいつもどんな格好で寝ているかを観察してから買うと、「せっかく買ったのに使ってくれない」を防げます。
クレート・ベッド・サークルの使い分け早見表
3種類は「どれか1つ」ではなく、役割で組み合わせるのが基本です。下の表に、それぞれの得意分野をまとめました(プロドッグ調べ・特徴を整理)。サイズ選びの目安は、犬が中で立ち上がって方向転換でき、伏せたときに手足を伸ばせる広さ。クレートの場合は、立った高さ・伏せた奥行きがギリギリの寸法に、ベッドを敷く分の余裕を少し足すとちょうど良くなります。広すぎると落ち着かず、狭すぎると体に負担がかかるため、体のサイズに合わせて選びましょう。
| アイテム | 得意なこと | 向いている犬 |
|---|---|---|
| クレート | 囲まれた安心感・移動も可 | 狭い所で落ち着く子 |
| ベッド | 寝心地・体への優しさ | 寝相に合わせたい子 |
| サークル | 寝床とトイレの仕切り | 留守番が多い子・子犬 |
季節で変える寝床の整え方|夏と冬で快適温度が違う
犬の寝床は「一度作って終わり」ではなく、季節に合わせて衣替えするものです。犬は自分で服を脱ぎ着できない分、寝床の素材と温度管理で快適さが大きく変わります。エアコンと組み合わせながら、季節ごとに整えていきましょう。
夏は熱がこもらない素材に入れ替える
夏の寝床づくりのポイントは「熱を逃がすこと」です。冬用のふかふかベッドをそのまま使うと熱と湿気がこもり、犬は涼しいフローリングへ逃げてしまいます。夏は接触冷感マットや、通気性の良いメッシュ素材のベッドに入れ替えましょう。クレートを使っている場合は、中の毛布を薄手のものにするだけでも体感は変わります。室温は25度、湿度は60%を超えると熱中症のリスクが高まるとされるため、留守番中もエアコンをつけておくのが安心です。注意したいのは、冷感マットや冷却グッズを「これさえあればエアコン不要」と過信しないこと。冷感グッズはあくまで補助で、室温そのものを下げる役割は果たせません。風通しと室温管理を土台に、ひんやり素材をプラスする、という順番で考えると失敗しません。
冬は床からの冷えを断つ
冬に意識したいのは「下からの冷え」です。犬は人間より床に近い位置で過ごすため、フローリングの冷たさをダイレクトに受けます。寝床の下にカーペットやマットを一枚かませるだけで、床からの冷気がかなり和らぎます。ベッドはドーム型や厚手のものに替え、毛布を一枚足してあげると、自分でもぐり込んで暖をとれます。クレートなら、上や横を毛布で軽く覆って冷たい風の通り道をふさぐと、中の温度が保たれやすくなります。ホットカーペットや暖房器具を使うときは、犬が自分で「暑ければ離れられる」ように、寝床の一部だけを温めるのがコツです。寝床全体を熱くすると、逃げ場がなくなって体に熱がこもってしまうことがあります。暖かいゾーンと普通のゾーンの両方を作ってあげましょう。

梅雨と季節の変わり目は湿気とエアコンの位置に注意
見落としがちなのが梅雨どきの湿気対策です。湿度が高いと寝床のクッションに湿気がこもり、犬が「なんとなく気持ち悪い」と感じて使わなくなることがあります。晴れた日にベッドや毛布を干す、洗えるカバーを選んでこまめに洗濯する、といった習慣で清潔さを保ちましょう。除湿機やエアコンの除湿機能も役立ちます。エアコンを使う季節は、風が直接寝床に当たらない位置関係も大事です。冷風・温風が一晩中体に当たり続けると、犬は快適どころか体調を崩しかねません。風が壁や天井に当たって部屋全体に回るよう、寝床は吹き出し口の真下や正面を避けて配置します。季節の変わり目は寝相を観察すると状態がよくわかり、丸まっていれば寒い、お腹を出して伸びていれば暑い、のサインです。
・夏:接触冷感・メッシュ素材+エアコンで室温管理(目安22〜25度)
・冬:床にマットを一枚+ドーム型や毛布で下からの冷えを断つ
・梅雨:洗えるカバーで清潔キープ+除湿
・共通:エアコンの風が寝床に直撃しない位置に置く
子犬・成犬・シニアで違う寝床のつくり方
同じ犬でも、ライフステージによって寝床に求めるものは変わります。子犬には安心と安全を、シニアには体への優しさを——年齢に合わせて少しずつアップデートしていくのが、長く快適に過ごすコツです。多頭飼いの場合のポイントもあわせて見ていきます。
子犬期は「安心感」と「誤飲しない素材」を最優先
子犬の寝床で大切なのは、安心できる狭さと、安全な素材選びです。子犬は環境の変化に敏感で、広すぎる空間ではかえって不安になります。サークルやクレートで適度に囲い、家族の気配が感じられる場所に置いてあげましょう。素材選びでは「噛んでちぎれないか」を必ずチェックします。子犬は何でも口に入れる時期なので、ほつれた糸や綿が出るベッドは誤飲の原因になります。最初は丈夫で洗いやすいマットから始めるのが無難です。やりがちな失敗が、夜鳴きするからとすぐに寝床から出して抱っこしてしまうこと。これを繰り返すと「鳴けば出してもらえる」と学習し、寝床で落ち着けなくなります。寝床は「ひとりでも安心して眠れる場所」として、根気よく慣らしていきましょう。
成犬は自立した寝床、シニアは段差と床ずれ対策
成犬期は、自分の寝床できちんと休めることが目標です。日中の運動でしっかり疲れさせ、夜は決まった寝床でぐっすり眠る、というメリハリのある生活リズムを作りましょう。寝床は体を伸ばせる広さがあり、静かで温度が安定した定位置に置きます。シニア期に入ったら、寝床を「体に優しい仕様」へ見直します。関節が衰えてくるため、クレートの出入り口に段差があれば、低いものに替えるか緩やかなスロープを用意します。寝ている時間が長くなるぶん、同じ姿勢で寝続けて体の一部に負担がかかりやすくなるので、低反発など体圧を分散するマットに替えると安心です。トイレに行きやすいよう寝床とトイレの動線を短くする、滑りにくい床にする、といった配慮も効いてきます。年齢に合わせて寝床を変えるのは、過保護ではなく自然なケアです。
多頭飼いは「ひとり1つの寝床」が基本
複数の犬を飼っている場合、寝床は頭数分用意するのが基本です。犬にとって寝床は安心できる自分のテリトリーなので、ひとつを共有させると取り合いや小competitionの火種になることがあります。仲が良くてもそれぞれの寝床を用意し、「ここは自分の場所」と思える空間を一頭ずつに確保しましょう。設置するときは、お互いの寝床が見えつつも少し距離をとると、干渉せずに休めます。相性や好みによっては、くっついて寝たがる子もいれば、離れて寝たい子もいます。寝床を別々に用意したうえで、どう使うかは犬たちに任せるくらいの余白があると、それぞれが心地よい距離感を選べます。新入りを迎えたときは、先住犬の寝床を急に動かさないことも、安心を守るうえで大切なポイントです。
犬が寝床ではなく飼い主の足元や玄関で寝ることがあります。これは「見張り役」を引き受けている表れと言われることも。決して寝床が嫌いなわけではなく、家族を守ろうとする習性のあらわれなので、無理に寝床へ戻さず見守ってあげましょう。
犬が寝床で寝てくれない時の原因と直し方
「ベッドを買ったのに使ってくれない」「いつも床で寝てしまう」——寝床にまつわる悩みで一番多いのがこれです。原因はいくつかパターンがあり、それぞれに合った対処をすれば、ちゃんと自分の寝床で眠ってくれるようになります。
新しい寝床を警戒している場合
新品の寝床を犬が避けるのは、よくあることです。理由は、見慣れない物への警戒心と、自分のにおいがついていない違和感。犬はにおいで安心する動物なので、無臭の新しいベッドは「自分の場所」と認識しづらいのです。対処法はシンプルで、まず犬がよく過ごす場所に新しい寝床を置き、その上に今まで使っていた毛布や、犬のにおいがついたタオルを敷きます。自分のにおいがすることで一気に受け入れやすくなります。さらに、寝床に入ったタイミングでおやつをあげたり穏やかに褒めたりして、「ここは良い場所」という印象づけをすると効果的です。焦って抱き上げて無理に入れるのは逆効果。自分の意思で入って良い体験をする、という流れを繰り返すうちに、数日〜数週間で自然となじんでいきます。
飼い主のそばで寝たがる場合
寝床があるのに飼い主のベッドやソファで寝たがる犬も多いです。これは愛着のあらわれであると同時に、寝床より人のそばのほうが安心だと感じている状態でもあります。完全に分離する必要はありませんが、自分の寝床でも眠れるようにしておくと、留守番や災害時にも犬が落ち着けます。コツは、飼い主の寝るスペースの近くに犬の寝床を置くこと。同じ部屋で少し離れた位置に寝床を用意すれば、「そばにいる安心感」と「自分の場所」を両立できます。最初は寝床で寝たらしっかり褒め、徐々に距離を保てるようにしていきます。やりがちな失敗は、その日の気分で「今日は一緒、明日はダメ」とルールを変えること。基準がコロコロ変わると犬は混乱するので、家庭内でルールを統一しておきましょう。
床で寝るのは「暑さ」のサインかもしれない
ベッドを用意しているのに、わざわざ硬い床で寝る——これは多くの場合、体温調整のための行動です。犬は人間より体温が高く、汗腺もほとんどないため、熱がこもると涼しい場所を探します。ひんやりしたフローリングやタイル、玄関の三和土で寝ているなら、「ベッドが嫌い」なのではなく「ベッドが暑い」という可能性が高いです。この場合、ベッドを無理に使わせるより、夏は接触冷感マットに替える、寝床の素材を通気性の良いものにする、といった対応が効きます。逆に冬に床で寝ているなら、ベッドが体に合っていないか、置き場所が落ち着かないのかもしれません。「使ってくれない=好みに合わない」と決めつける前に、季節と素材、置き場所の3点をチェックしてみてください。犬の行動には必ず理由があります。
寝床に入らないからと「ハウス!」と強い口調で叱って押し込むと、犬は寝床を「叱られる場所・閉じ込められる場所」と覚えてしまい、ますます避けるようになります。あるケースでは、無理やりクレートに入れ続けた結果、クレートを見ただけで逃げる子になってしまいました。寝床は罰の場所ではなく安心の場所。入ったら褒める、入りたくなる工夫をする、という前向きなアプローチに切り替えましょう。
寝床にまつわる素朴な疑問Q&A|寝相でわかる気持ちも
最後に、飼い主さんからよく聞かれる寝床まわりの疑問に答えていきます。「ケージは閉めるべき?」「一緒に寝てもいい?」といった定番の質問から、寝相からわかる気持ちまで、知っておくと寝床づくりがもっと楽しくなる話をまとめました。
寝るときケージやクレートの扉は閉める?
結論として、子犬期や留守番・就寝時の安全管理が必要な間は閉めてもよく、信頼関係ができてくれば開けておく、というのが一つの考え方です。扉を閉めるのは、子犬がいたずらや誤飲をしないため、災害時に犬を素早く安全な場所に確保するための練習という意味があります。普段から扉を閉める時間に少しずつ慣らしておくと、いざというとき犬がパニックになりにくくなります。一方、成犬で十分に落ち着いて過ごせるなら、扉は開けておき、自分の意思で出入りできるようにしてあげるとストレスが少なくなります。大事なのは、閉めること自体を罰や閉じ込めにしないこと。閉めた直後におやつをあげる、静かにしていたら褒めるなどで「閉まっていても安心」を教えていくと、クレートは犬にとっての安全基地になります。

寝相や寝る場所から気持ちはわかる?
犬の寝相は、その時の気温と安心度をけっこう正直に映します。体を丸めて顔を隠すように寝るのは、寒いときや警戒しているとき。逆に、お腹を上に向けて手足を投げ出す「へそ天」は、暑さを逃がしたいときと、無防備になれるほど安心しているときのサインです。横向きで手足を伸ばして寝ているのは、リラックスして深く眠れている状態と言われます。寝る場所にも意味があり、飼い主の足元や部屋の出入り口で寝るのは見張り役を引き受けている表れ、家族から少し離れた静かな場所を選ぶのは、ひとりでゆっくり休みたい気分のときです。寝相や寝場所は日によって変わるので、「いつもと違う」が続くときだけ環境や体調を気にかける、くらいの距離感で観察すると、犬の気持ちが少しずつ読めるようになります。
実は「高すぎるベッド」より「自分で選べる選択肢」が効く
意外と知られていないのですが、寝床づくりで効くのは高機能で高価なベッドを一つ用意することよりも、犬が「自分で寝場所を選べる」環境を整えることです。犬はその時々の体調や気温に合わせて、暖かい所・涼しい所・囲まれた所を本能的に選びます。だからこそ、メインの寝床(クレートやベッド)を定位置に置きつつ、近くに薄手のマットやひんやりマットなど「もう一つの選択肢」を置いておくと、犬は自分で快適な方を選んで休めます。一点豪華主義で立派なベッドを一つだけ置くより、シンプルな寝床を2カ所用意するほうが満足度が高い、ということは珍しくありません。寝床は「飼い主が完璧に正解を用意する」ものではなく、「犬が選べる余白を残す」もの。この発想に切り替えると、寝床づくりはぐっと気楽になります。
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まとめ:犬の寝床は「場所」と「季節の手入れ」で決まる
犬の寝床づくりは、高価なベッドを買うことではなく、安心して眠れる場所を選び、季節に合わせて整えてあげることが本質です。犬は1日の半分以上を眠って過ごす動物だからこそ、寝床の質は愛犬の落ち着きや健やかさに直結します。家族の気配を感じられる半個室に置き、温度の安定する場所を選び、トイレや人の動線から少し離す——この基本を押さえるだけで、寝つきは大きく変わります。あとは子犬・成犬・シニアと、その時々のライフステージに合わせて少しずつ手を入れていけば十分です。
今日からできる寝床づくりのポイントを、最後におさらいしておきます。
- 寝床は「人の気配が感じられる半個室」に定位置を決めて固定する
- 直射日光・隙間風・エアコンの直撃を避け、室温22度前後を目安にする
- 寝床とトイレ、人の通り道はそれぞれ少しずつ距離をとる
- クレート・ベッド・サークルは役割で組み合わせ、寝相に合った形を選ぶ
- 夏は冷感素材、冬は床の冷え対策と、季節で衣替えする
- シニア期は段差をなくし、体圧を分散できるマットに替える
- 寝てくれないときは「季節・素材・置き場所」の3点を見直す
まず最初の一歩としておすすめなのは、今ある寝床の「置き場所」を見直すことです。新しい物を買う前に、部屋の中で一番温度が安定していて、家族の気配を感じられる静かな隅へ寝床を移してみてください。それだけで愛犬の眠りが変わることはよくあります。なお、寝る時間や様子にいつもと違う変化が続くなど気になる点があれば、自己判断せず獣医師に相談しましょう。犬の飼育環境については環境省の「飼い主の方やこれからペットを飼う方へ」でも基本的な考え方が紹介されています。愛犬がぐっすり眠れる寝床を、一緒に育てていきましょう。
※記載の数値は一般的な目安です。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
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