「気づくと、うちの子がトイレシートの上でぐっすり…」「せっかく買ったベッドは無視して、なぜかトイレで丸くなっている」。犬を迎えたばかりの飼い主さんから、本当によく聞くお悩みです。かわいいけれど、そのまま寝てオシッコで体が汚れないか、衛生面は大丈夫かと心配になりますよね。
結論から言うと、犬がトイレで寝るのには巣穴で暮らしていた頃の本能や、トイレシートの快適さといった、犬なりのちゃんとした理由があります。叱ってやめさせようとすると逆効果になりやすく、直すコツは「寝床の環境を変えて、トイレより魅力的な場所を用意すること」に尽きます。
この記事では、犬がトイレで寝る6つの原因を行動学の視点から整理し、今日から始められる5つのステップ、眠りたくなる寝床の作り方、犬種・年齢別のコツまで具体的に解説します。読み終える頃には、叱らずに寝床を移してもらう道すじが見えているはずです。
・犬がトイレで寝る6つの原因と、放置していいかの判断基準
・叱らずに直す「5つのステップ」の具体的なやり方
・トイレより魅力的な寝床を作る4つの条件
・小型犬〜大型犬、子犬〜シニアで変わる対処のコツ
犬がトイレで寝るのをやめさせたい前に|放置していい?いつまで様子見?

やめさせる方法に入る前に、まず知っておいてほしいのが「これは異常行動ではない」ということです。多くの犬、とくに子犬の時期には自然に見られる行動で、成長とともに落ち着いていくケースがほとんどです。焦って無理にやめさせようとする前に、なぜそこで寝るのか、放置していい範囲はどこまでかを整理しておきましょう。ここを押さえておくと、この後のしつけがぐっとスムーズになります。
まずやることは「叱る」ではなく「環境を変える」こと
結論として、トイレで寝る行動を直したいなら、叱るよりも先に寝床の環境を見直すのが近道です。犬はその場所を「落ち着ける」と感じて選んでいるので、理由をつぶさないまま叱っても、隠れて続けたり別の問題行動に移ったりするだけだからです。実際、トイレを寝床代わりにする子は、用意されたベッドが広すぎたり、人の通り道にあって落ち着かなかったりと、寝床側に不満があることが少なくありません。子犬を迎えて2〜3週間の「新しい家に慣れる時期」や、ケージのレイアウトを変えた直後に起きやすいのも特徴です。ここで焦って大きな声を出すと、トイレそのものを怖い場所と学習し、今度はトイレを我慢して粗相が増える、という別の失敗につながります。まずは「叱らない」を大前提に置いてください。
放置しても大丈夫?衛生面だけは気をつけたい
行動そのものは心配しすぎなくて大丈夫ですが、衛生面だけは別問題として気にかけておきましょう。理由は、排泄物の上で寝てしまうと被毛が汚れ、体を舐めて口に入ったり、皮膚がベタついたりと、快適さが損なわれるからです。とくに長毛の小型犬や、足の短い犬種はお腹まわりが汚れやすい傾向があります。対策はシンプルで、排泄したらこまめにシートを交換し、寝るスペースと排泄スペースを物理的に分けること。トイレトレーとベッドを最初から離しておくだけでも、汚れて寝るリスクはかなり減ります。逆に、シートを敷きっぱなしにして「寝床兼トイレ」の状態を続けると、犬が排泄場所と休む場所の区別を失い、習慣が固定化してしまうので気をつけてください。
いつまでに直る?月齢・成長との関係
「いつまで様子を見ていいの?」という疑問には、月齢が一つの目安になります。生後2〜6か月ごろの子犬は環境への不安が強く、狭くて自分の匂いがするトイレを安心スペースにしがちですが、この時期の行動は成長とともに自然に減っていくことが多いです。一方で、成犬になってからも続く場合や、急にトイレで寝るようになった場合は、寝床の位置や家庭内の環境変化(引っ越し、家具の移動、来客の増加など)がきっかけになっていることがあります。目安として、環境を整えてから2〜4週間ほど様子を見て変化がなければ、寝床の作り方をもう一段見直すサインです。年齢を問わず、食欲や元気がいつもと違うと感じるときは、行動の問題と切り分けるためにも、かかりつけの獣医師に相談すると安心です。
犬がトイレで寝るのはなぜ?根っこにある3つの本能的な理由
まずは、犬がトイレで寝たくなる「そもそもの理由」を3つ見ていきましょう。ここを理解すると、単に叱ってもうまくいかない理由がストンと腑に落ちます。犬にとってトイレは、私たちが思う以上に居心地のいい条件がそろった場所なのです。犬の祖先であるオオカミの暮らしまでさかのぼると、その理由がよく見えてきます。
狭くて囲まれた場所が落ち着く「巣穴の名残り」
1つめの理由は、犬にとって狭くて囲まれた場所が本能的に安心できるからです。犬の祖先は外敵から身を守るために巣穴(デン)で寝起きし、体がすっぽり収まる狭い空間で休む習性を持っていました。この名残りが今の犬にも残っていて、トイレトレーの縁で囲まれた一角は、まさに「体がフィットする隠れ家」に感じられます。とくに壁際やケージの角にトイレを置いていると、二方向が囲まれてさらに落ち着きやすくなります。寝る前に前足で床やシートをカリカリ掘るしぐさを見せる子は、この巣穴づくりの本能が強いタイプ。対策としては、トイレの居心地を上回る「囲われた寝床」を別に用意するのが有効です。ここで、トイレの縁を取り払って広くフラットにしてしまうと、かえって落ち着かず、部屋の隅で寝るようになるだけなので注意しましょう。
寝る前に床を掘るしぐさは、巣穴を整えて寝床を作っていた頃の名残りです。「掘ってから丸まる」がワンセットの子は、囲いのあるベッドを喜ぶ傾向があります。
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トイレシートが夏は涼しく冬は暖かい
2つめは、トイレシートの素材そのものが快適だからです。シートの中に入っている吸水ポリマー(高分子吸収体)は、断熱性があり、夏場はひんやり涼しく、冬場はほんのり暖かく感じられます。フローリングに直接寝ると夏は暑く冬は冷たいのに対し、シートの上はちょうどいい温度に感じられるわけです。とくに体温調節が発達しきっていない子犬や、体が床に近い足の短い犬種は、この温度差に敏感に反応します。夏にエアコンの効いた部屋でトイレの上を選ぶ、冬に日の当たるトイレスペースで丸くなる、といったパターンはこの理由が大きいです。対策は、寝床側に季節に合った素材(夏はひんやりマット、冬は保温性のあるベッド)を用意して、温度の魅力でトイレに勝つこと。逆に、寝床が夏は暑く冬は寒い場所にあると、いくら叱ってもシートの快適さには勝てません。
自分の匂いがついた場所は安心できる
3つめは、自分の匂いがしみついた場所が安心につながるからです。犬は嗅覚で世界を把握する動物で、自分の体臭や排泄の匂いが残る場所を「自分のテリトリー」と認識し、そこにいると気持ちが落ち着きます。トイレは毎日使ううえに自分の匂いが最も濃く残る場所なので、警戒心が強い子や、迎えたばかりで新しい家に慣れていない子ほど、そこを寝床に選びやすくなります。人の出入りが多いリビングの真ん中より、匂いのする静かな一角のほうが安心できるのです。対策としては、新しい寝床に犬が普段使っているタオルやブランケットなど「自分の匂いがついた布」を入れてあげること。真新しいベッドの無臭さは、犬にとってむしろ落ち着かない要素になります。洗いたてでピカピカにするより、少し匂いを残すくらいがちょうどいい、と覚えておいてください。
意外と見落とす「環境・気持ち」が原因のケース3つ

本能的な理由に加えて、飼い主さん側の環境づくりや接し方が引き金になっているケースも少なくありません。むしろ、ここで紹介する3つは「変えればすぐ改善する」ことが多い、いわば伸びしろの大きい原因です。心当たりがないか、チェックしながら読んでみてください。
用意した寝床が犬にとって居心地が悪い
まず疑ってほしいのが、そもそも用意した寝床が犬の好みに合っていない可能性です。人間が「ふかふかで広くて快適そう」と思って選んだベッドが、犬にとっては「広すぎて落ち着かない」「体が沈みすぎて不安」と感じられていることがよくあります。前述のとおり犬は体がフィットする狭さを好むので、大型のベッドにポツンと寝かせると、かえってトイレの縁のほうが安心できてしまうのです。また、置き場所がテレビの近くや人の通り道など、音や振動の多い場所だと、静かなトイレスペースに逃げ込みます。対策は、体のサイズに対して「一回り大きい程度」の囲いのあるベッドを、部屋の隅の落ち着ける場所に置くこと。よくある失敗が、良かれと思って毎日ベッドを移動させたり洗いすぎたりして、犬が「自分の匂いのする定位置」を持てないパターンです。寝床は動かさず、匂いを残すのが基本です。
「トイレにいると構ってもらえる」と学習した
2つめは、犬が「トイレで寝ると飼い主が反応してくれる」と学習してしまっているケースです。トイレで寝ているのを見つけて「ダメでしょ」と声をかけたり、抱き上げてベッドに戻したりする——この一連の反応が、犬にとっては「構ってもらえた」というごほうびになり、行動を強化してしまいます。犬は叱られることと注目されることの区別が苦手で、無反応より叱られるほうがマシ、と受け取ることがあるのです。とくに留守番が多かったり、日中かまう時間が少なかったりする家庭で起きやすい傾向があります。対策は、トイレで寝ていても過剰に反応せず、静かに見守ること。そして、寝床やほかの場所で寝ているときにこそ「いい子だね」と穏やかに声をかけ、そちらを強化します。反応のメリハリをつけるのがコツです。
「トイレで寝ていたら毎回声をかけて抱き上げてベッドに戻していたら、逆にトイレで寝る回数が増えた」——これは典型的な失敗パターン。かまう=ごほうびになり、行動が強化された例です。反応せず、正しい場所で寝たときに褒めるのが正解です。
体温調節が苦手な子犬が暖かい場所を探している
3つめは、とくに子犬に多い、体温調節のために暖かい(あるいは涼しい)場所を探しているケースです。子犬は成犬に比べて体温を一定に保つ力が未発達で、寒すぎたり暑すぎたりする環境に敏感に反応します。前述したシートの断熱性に加え、トイレスペースが日当たりのいい窓際や、床暖房の効いた一角にあると、暖を求めて自然とそこに集まってしまうのです。逆に夏は、フローリングよりシートのほうがひんやりして涼しく感じられます。つまり、犬は「トイレが好き」というより「そこがちょうどいい温度だから」選んでいるだけ、ということも多いのです。対策は、寝床を犬にとって快適な温度帯(季節にもよりますが、犬が快適に過ごせる室温を目安に)に整えること。暑さ寒さの原因を寝床側で解消してあげれば、わざわざトイレを選ぶ理由がなくなります。
犬がトイレで寝るのをやめさせる5つのステップ
原因が見えてきたら、いよいよ具体的な直し方です。ここでは、叱らずに寝床を移してもらうための手順を「5つのステップ」に整理しました。ポイントは、トイレの居心地を否定するのではなく、それを上回る魅力的な寝床を用意して、犬に自分から選んでもらうこと。順番に進めれば、多くの子は2〜4週間で変化が見えてきます。
ステップ1:囲いのある「巣穴っぽい」寝床を用意する
ステップ2:普段の匂いがついた布を寝床に入れる
ステップ3:トイレと寝床の場所をしっかり離す
ステップ4:正しい場所で寝たら穏やかに褒める
ステップ5:トイレで寝ても叱らず・反応しない
ステップ1・2:寝床を「巣穴」に近づける
最初の2ステップは、寝床そのものを犬が本能的に安心できる形に近づける作業です。結論として、屋根や縁で囲まれた「巣穴タイプ」のベッドを選び、そこに犬の匂いがついたタオルを入れるのが基本形になります。理由は、これまで見てきたとおり犬が狭さと自分の匂いに安心を感じるから。真新しいオープンなベッドより、体がすっぽり収まるドーム型やカドラー(縁が高いタイプ)のほうが選ばれやすいです。具体的には、子犬なら体がぐるっと丸まって収まるサイズ、成犬なら伏せて手足を伸ばしても少し余る程度を目安にします。導入初日は、その中で名前を呼んでおやつをあげ、「ここはいい場所」という記憶づけをすると定着が早まります。注意点は、いきなり今までと全く違う素材にしないこと。子犬期に慣れた感触から急に変えると警戒するので、これまで使っていた布を必ず一枚は入れてあげましょう。
ステップ3:トイレと寝床の距離をとる
3つめのステップは、トイレと寝床を物理的に離すことです。結論から言うと、この配置替えだけで改善する子も多い、効果の大きい一手です。理由は、トイレと寝床が隣接していると、犬の中で「排泄する場所」と「休む場所」の境界があいまいになり、そのままトイレで寝る習慣が固定してしまうから。犬はもともと巣穴から少し離れた場所で排泄する動物なので、この2つを分けてあげるほうが本来の習性に合っています。具体的には、ケージ内であればトイレと寝床の間についたてを置く、可能なら部屋の対角に配置する、といった工夫が有効です。とくに、寝床は静かで人の気配がほどよく感じられる隅、トイレは少し離れたアクセスしやすい場所、と役割で分けるのがコツ。注意したいのは、離した直後にトイレの場所を覚え直す必要が出る子もいること。数日は粗相が増えることもありますが、根気よく正しい位置を教えれば落ち着きます。
寝床とトイレをどこに置くか、部屋全体の配置に迷う方は、こちらの記事が参考になります。

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ステップ4・5:正しいタイミングで褒める/叱らない
最後の2ステップは、日々の接し方で寝床への移行を後押しする作業です。結論は、「正しい場所で寝たら褒める・トイレで寝ても叱らない」の徹底です。理由は、犬は叱られることも注目のごほうびと受け取りやすく、叱ると逆に強化されてしまうから。犬の学習は「した行動の直後に何が起きたか」で決まるので、タイミングが命です。具体的には、新しい寝床で休んでいるのを見つけたら、その場ですぐ(3秒以内が目安)穏やかな声で「いい子」と伝え、時にはおやつを一粒。逆にトイレで寝ているときは、目も合わせず淡々とスルーします。1日のうち何度も繰り返すことで、「寝床=いいことが起きる場所」という記憶が積み上がっていきます。注意点は、家族で対応をそろえること。誰かが叱り、誰かがかまう、とバラバラだと犬が混乱して定着しません。ルールは家族全員で共有しておきましょう。
うまくいかないときの見直しポイント
2〜4週間続けても変化がないときは、どこかにボトルネックが残っているサインです。まず見直したいのが寝床の「場所」。人の通り道やテレビの近く、エアコンの風が直撃する位置だと、いくら快適なベッドでも選ばれません。次に「温度」。夏は暑く冬は寒い場所に寝床があると、快適なトイレシートに負けてしまいます。そして「匂い」。ベッドを洗いすぎて無臭にしていないか確認しましょう。具体的な見直し手順としては、①寝床を部屋の一番静かな隅に移す②季節に合ったマットを足す③洗濯直後は普段使いの布を一枚戻す、の3点をワンセットで試すと変化が出やすいです。それでも成犬になってから急に始まった、元気や食欲にも変化がある、といった場合は、環境以外の要因も考えられるので、念のためかかりつけの獣医師に相談すると安心です。
眠りたくなる寝床の作り方|満たしたい4つの条件
「やめさせる」の核心は、結局のところ「トイレより魅力的な寝床を作れるか」に尽きます。ここでは、犬が思わず選びたくなる寝床の4条件を整理し、タイプ別のベッドの向き・不向きも比較しました。寝床づくりは一度整えれば効果が長続きするので、じっくり取り組む価値があります。
囲い・屋根で「隠れ家」感を出す
1つめの条件は、囲われた「隠れ家」感です。前述の巣穴の本能に応えるため、四方または三方が囲まれ、上から見下ろされない構造にすると安心度が上がります。オープンな平マットより、縁の高いカドラーやドーム型、屋根つきベッドが向いています。とくに警戒心の強い子や、来客の多い家庭では、囲われた寝床があるだけで「避難できる安心スポット」になり、トイレに逃げ込む必要がなくなります。子犬なら体が包まれるサイズ、大型犬なら伏せて収まりつつ頭を預けられる縁があると落ち着きます。注意点は、囲いすぎて風通しや温度がこもらないようにすること。夏場は通気性、冬場は保温性と、季節で素材を切り替えるとより快適です。
静かで人の気配がほどよく感じられる場所に置く
2つめは置き場所です。結論として、ベストは「静かだけれど、家族の気配がうっすら感じられる部屋の隅」。犬は群れで暮らしてきた動物なので、完全に孤立した部屋より、リビングの角のように仲間の気配がある場所を好みます。一方で、テレビの正面や玄関のそば、人が頻繁に通る導線上は、音や動きが気になって熟睡できません。具体的には、壁を背にして二方向が囲まれる隅、エアコンの風が直接当たらない位置がおすすめです。注意したいのは、静かすぎる別室に隔離してしまうこと。孤独感からかえって落ち着かず、飼い主の匂いが濃いトイレへ戻ってしまうことがあります。「見える範囲で、でも邪魔されない隅」がちょうどいい塩梅です。
寝る場所の選び方をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も役立ちます。

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季節で素材と温度を変える
3つめは季節に応じた温度管理です。トイレシートが快適に感じられる大きな理由が温度だったように、寝床も夏は涼しく冬は暖かくしてあげると、わざわざトイレを選ばなくなります。夏は接触冷感マットやアルミプレート、通気性のよい素材を、冬は起毛やボア、保温性の高いクッションを合わせるのが基本です。日当たりや床の冷たさは季節で大きく変わるので、置き場所も微調整しましょう。具体的には、冬は日の差す暖かい一角、夏は風通しのよい涼しい場所へ、と季節ごとに寝床の位置を見直すのがコツ。注意点は、暖房器具やこたつに近づけすぎて低温やけどや熱がこもらないようにすること。犬は自分で「暑い・寒い」を言えない分、飼い主が季節先取りで整えてあげる意識が大切です。
【プロドッグ調べ】寝床タイプ別・向き不向き比較
どんなベッドを選べばいいか迷う方のために、代表的な寝床タイプの特徴を整理しました。犬の性格やトイレで寝る原因によって、合うタイプは変わります。
| 寝床タイプ | ドーム/屋根つき | カドラー(縁高) | 平マット |
|---|---|---|---|
| 巣穴の安心感 | ◎ | ○ | △ |
| 警戒心が強い子 | ◎ | ○ | × |
| 夏の暑さ対策 | △ | ○ | ◎ |
| 掃除のしやすさ | △ | ○ | ◎ |
※プロドッグ調べ。トイレで寝る子には、まず「巣穴の安心感」が高いドーム型やカドラーから試すのがおすすめです。暑がりの子は夏だけ通気性のよいタイプに切り替えると、一年を通して寝床から離れにくくなります。
犬種・年齢で変わる対処のコツ
同じ「トイレで寝る」でも、犬のサイズや年齢によって効きやすい対策は少しずつ変わります。ここでは、小型犬〜大型犬、子犬〜シニア、多頭飼いという3つの切り口で、使い分けのポイントを整理します。自分の家の状況に近いものを重点的に取り入れてみてください。
小型犬・中型犬・大型犬でここが違う
体のサイズによって、トイレで寝る背景も対策も変わります。小型犬はもともと体が小さく寒さに弱い子が多いため、断熱性のあるトイレシートの暖かさに惹かれやすい傾向があります。保温性の高い囲われた寝床を用意すると移りやすいです。中型犬は運動量が多く、日中しっかり体を動かして満足していると、夜は落ち着いて寝床で眠る傾向が強まります。散歩や遊びの充実がそのまま寝床の定着につながります。大型犬はトイレトレー自体が体に対して狭く、そもそもトレー全体に乗れないことも多いので、トイレで寝るより「十分な広さの寝床がない」ことが問題になりがちです。体を伸ばして休める大きめのベッドを確保するのが先決。サイズごとに「寒さ・運動・広さ」のどこがネックかを見極めるのがコツです。
子犬・成犬・シニアで見るポイント
年齢によっても着眼点が変わります。子犬期(生後2〜6か月ごろ)は、新しい環境への不安と体温調節の未熟さが主な理由なので、匂いのついた布と適温の寝床で「安心」を作るのが最優先。多くは成長とともに自然に落ち着きます。成犬になってから続く、あるいは急に始まった場合は、寝床の位置や家庭環境の変化がきっかけのことが多く、配置と接し方の見直しが効きます。シニア犬は、体が冷えやすくなったり、寝床までの移動がおっくうになったりして、近くて暖かいトイレを選ぶことがあります。段差の少ない出入りしやすい寝床を、行動範囲の中心近くに置いてあげると移りやすいです。年齢に応じて「不安・環境・体の変化」のどこに理由があるかを考えると、対策が絞りやすくなります。
多頭飼いのときに気をつけたいこと
複数の犬を飼っている場合は、寝床の「取り合い」や序列が絡んでくることがあります。1頭が良い寝床を占領し、もう1頭が居場所を失ってトイレスペースに逃げ込む、というのは多頭飼いでよくあるパターンです。結論として、寝床は「頭数+1」を目安に、それぞれが自分の場所を確保できるように用意するのがコツ。理由は、犬同士でも快適な場所を巡って遠慮や譲り合いが起きるからです。具体的には、少し離れた位置に複数の寝床を置き、どの子も囲われた安心スポットを持てるようにします。注意点は、相性やその日の気分で使う寝床が変わること。特定の場所を強制せず、選択肢を複数用意して犬に選ばせるほうが、結果的にトイレ寝を防げます。
多頭飼いでは「一番安心できる場所」を巡って静かな駆け引きが起きています。寝床を頭数より1つ多く用意すると、あぶれる子がいなくなり、トイレを避難先にする必要がなくなります。
やりがちなNG対応と「実は」の逆張り視点
最後に、良かれと思ってやりがちなのに逆効果になる対応と、少し視点を変えると気がラクになる考え方を紹介します。ここを知っておくと、しつけの遠回りを避けられますし、必要以上に悩まずに済みます。
叱る・トイレから引きずり出すが逆効果な理由
最もやりがちで、最も避けたいのが「叱る」「無理やり引きずり出す」対応です。結論から言えば、これは行動を直すどころか、こじらせる典型的なNG対応。理由は2つあります。1つは、犬が叱られること自体を「かまってもらえた」と受け取り、行動が強化されてしまうこと。もう1つは、トイレという場所そのものを「怖い・嫌な場所」と学習し、排泄を我慢したり、別の場所で粗相したりと、二次的な問題に発展することです。たとえば「散歩中にリードを強く引いたら散歩嫌いになった」のと同じで、力ずくの矯正は犬にとってマイナスの記憶しか残しません。正しくは、トイレで寝ていても反応せず、寝床で寝たときに褒める——このメリハリだけ。焦って手を出したくなる気持ちをぐっとこらえ、環境を整えて「自分から移ってもらう」方針を貫きましょう。
・大きな声で叱る/トイレから引きずり出す
・トイレの縁を取り払って寝られなくする
・ベッドを毎日移動・洗濯して匂いを消す
いずれも犬の安心を奪い、トイレへの執着を強めたり、粗相を増やしたりする逆効果な対応です。
「実は」トイレを寝床化しても困らない子もいる
意外に思われるかもしれませんが、実はすべての犬に「絶対やめさせなければ」と気負う必要はありません。というのも、トイレで寝ること自体は病気でも問題行動でもなく、排泄物で体が汚れず、本人が快適に眠れているなら、そこまで神経質にならなくてよいケースもあるからです。とくに成長途中の子犬が一時的にトイレを安心スペースにしているだけなら、環境を整えて見守るうちに自然と卒業していくことがほとんど。無理に引き離すより、「今はこの子の安心の場所なんだな」と一歩引いて構えたほうが、飼い主も犬も気がラクになります。もちろん、排泄物の上で寝て体が汚れる、シートを噛んで誤飲しそう、といった実害があるなら対策は必要です。大切なのは「やめさせること」そのものより、「犬が清潔で快適に眠れているか」。ゴールを取り違えないようにしたいですね。
よくある質問(Q&A)
最後に、トイレで寝る行動についてよく寄せられる疑問にお答えします。
まとめ|叱らず「環境」で寝床を移してもらおう
犬がトイレで寝るのは、巣穴で暮らしていた頃の本能、トイレシートの快適な温度、自分の匂いによる安心感といった、犬なりのちゃんとした理由があってのことです。だからこそ、叱ってやめさせようとすると「かまってもらえた」と誤解されて逆効果になったり、トイレを怖い場所と学習して粗相が増えたりします。直すコツは一つ、トイレより魅力的な寝床を用意して、犬に自分から選んでもらうこと。焦らず環境を整えれば、多くの子は2〜4週間で変化が見えてきます。
・トイレで寝るのは異常ではなく、巣穴の本能・温度・匂いが主な理由
・まずやることは「叱る」ではなく「寝床の環境を変える」
・囲いのある寝床+普段の匂いの布で「巣穴」に近づける
・トイレと寝床は物理的に離し、正しい場所で寝たら褒める
・トイレで寝ても叱らず反応しない、を家族全員で徹底する
・小型犬は寒さ、大型犬は広さ、シニアは移動のしやすさがカギ
・排泄物で汚れず快適に眠れているなら、神経質になりすぎない
まず今日の最初の一歩としておすすめなのは、「寝床に、愛犬が普段使っているタオルを一枚入れて、部屋の静かな隅に置き直す」こと。これだけでも、トイレより落ち着ける場所づくりのスタートになります。あとは正しい場所で寝ている姿を見つけたら、すかさず穏やかに褒めてあげてください。犬の行動には必ず理由があります。その理由に寄り添って環境を整えれば、叱らなくても愛犬はきっと、あなたが用意した寝床でくつろいでくれるようになりますよ。犬の飼育環境づくりの基本は、環境省の動物愛護管理に関する情報も参考になります。気になる体調の変化があるときは、かかりつけの獣医師に相談してくださいね。

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