犬の平均睡眠時間は成犬12〜15時間|子犬・シニアの目安と快眠できる寝床づくり

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夕方に帰宅すると、朝出かけたときとまったく同じ姿勢で愛犬が寝ている。ソファでうとうと、ごはんのあとにもうとうと、夜も当たり前のように熟睡している。「うちの子、寝すぎじゃない?」と心配になったことはありませんか。

結論から言うと、犬はそもそも人よりはるかに長く眠る動物です。成犬でも1日12〜15時間、子犬とシニア犬にいたっては18〜19時間眠るのが普通で、獣医師監修の情報では成犬の総睡眠時間を12〜18時間としているケースもあります。人間の睡眠時間が7〜8時間であることを考えると、犬は1日の半分以上をまどろみのなかで過ごしている計算になります。

ただし、犬の睡眠は「長い代わりに浅い」という大きな特徴を持っています。眠りの深さ、1日のなかでの分散のしかた、年齢やサイズによる差を知っておくと、愛犬が本当に休めているのかどうかを判断できるようになります。この記事では、犬の平均睡眠時間の数値から、年齢別・サイズ別の目安、睡眠不足のサイン、快眠できる寝床のつくり方までまとめて解説します。

📌 この記事でわかること

・成犬・子犬・シニア犬それぞれの平均睡眠時間の目安
・犬の眠りがレム睡眠80%で浅い理由と「21分周期」のしくみ
・小型犬・中型犬・大型犬でどれくらい睡眠時間が違うのか
・睡眠が足りていないときに出るサインと、快眠できる寝床の条件

目次

犬の平均睡眠時間は1日12〜15時間|人の約2倍眠る理由

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まずは基本の数値から押さえていきましょう。犬の睡眠時間は、人間の感覚で見ると「異常なほど長い」ように感じますが、犬にとってはそれが標準です。長さだけでなく「質」も人とは根本的に違うため、そこを理解しておくと不安がぐっと減ります。

成犬は12〜15時間が標準|18時間眠る子も普通にいる

健康な成犬(およそ1歳〜7、8歳)の平均睡眠時間は、1日あたり12〜15時間です。動物病院が開発した活動量計のデータでは1〜8歳の犬を12〜15時間としており、獣医師監修の解説では総睡眠時間を12〜18時間とする記載もあります。つまり「12時間寝ていても、18時間寝ていても、どちらも成犬としては珍しくない」ということです。

なぜここまで幅が出るのかというと、犬の睡眠は1回まとめて取るものではなく、こまぎれに分散しているからです。夜にしっかり眠り、朝ごはんのあとにひと眠り、飼い主が出かけたあとに数時間、夕方の散歩前にまたひと眠り——こうした細かい休息をすべて合計した数字が「睡眠時間」になります。飼い主が見ている時間帯だけで判断すると、実際より短く見積もってしまいがちです。

気をつけたいのは、成犬になっても子犬並みに寝続けているケースと、逆に極端に短いケースです。日中ほとんど目を閉じず、夜も落ち着かずウロウロしている状態が数日続くようなら、環境や生活リズムを見直す価値があります。「昨日から急に変わった」という変化が続く場合は、自己判断せず獣医師に相談しておくと安心です。

人と決定的に違うのは「レム睡眠80%」という眠りの浅さ

犬がこれほど長く眠るのは、眠りが浅いからです。犬のレム睡眠とノンレム睡眠の割合は、レム睡眠が約80%、ノンレム睡眠が約20%。人間はレム睡眠が約25%、ノンレム睡眠が約75%なので、まったく逆の構成になっています。

レム睡眠は身体は休んでいるものの脳は活動している状態で、いわゆる「浅い眠り」です。深く休まる時間の割合が少ないぶん、犬は総量でカバーする必要があります。これが「12時間以上寝ているのに、物音ひとつでガバッと起きる」という現象の正体です。決して熟睡できていないわけではなく、そういう設計になっているのだと考えてください。

この構造は、野生時代の名残だと考えられています。群れで生活し、捕食者への警戒を怠れなかった祖先にとって、深く眠りこけることはリスクでした。浅く長く眠り、いつでも起き上がれる状態を保つほうが生き延びやすかったわけです。室内で暮らす現代の犬にも、その仕様がそのまま残っています。

やりがちな失敗は、「浅い眠りだから起こしても平気だろう」と考えてしまうことです。レム睡眠の割合が高いということは、少ないノンレム睡眠がそのぶん貴重だということでもあります。ぐっすり寝入っているタイミングで抱き上げたり、写真を撮ろうと顔を近づけたりする行為は、犬にとって数少ない深い休息を削る行為になります。

16分寝て5分起きる「21分周期」というリズム

犬の眠りには、人間にはない独特のリズムがあります。研究では、睡眠16分と覚醒5分を合わせた約21分の周期が、平均23回も繰り返されていたと報告されています。人間の睡眠周期が約90分であることを考えると、犬のサイクルは4分の1以下の短さです。

この「1日に何度も寝たり起きたりする」眠り方を多相性睡眠と呼びます。犬が昼寝の途中で急に顔を上げ、あたりを見回してからまた寝る、というあの動きは、周期の切れ目にあたる覚醒フェーズです。異常でもなんでもなく、犬としてごく正常な挙動になります。

実生活で意識したいのは、「まとまった静かな時間」を用意してあげることです。21分周期で覚醒が入るということは、そのたびに大きな刺激があると眠りに戻れなくなるということでもあります。テレビの音量、人の出入り、掃除機の音など、20分おきに刺激が入る環境だと、睡眠時間そのものは長くても質は落ちてしまいます。

💡 わんポイントメモ

意外と知られていませんが、犬の「寝つきの早さ」は睡眠の質の高さを示すサインのひとつです。横になって数分で寝息を立てられるのは、その場所を安全だと判断できている証拠。逆に、何度も体勢を変え、10分以上そわそわしているなら、寝床の位置や硬さが合っていない可能性があります。

活動量計のデータで見る、実際の睡眠時間

「平均12〜15時間」と言われても、実感が湧きにくいかもしれません。動物病院がつくった犬猫用活動量計のユーザーデータでは、成犬の平均休息睡眠時間は約14〜15時間と計測されています。さらに夜間(0時〜6時)の6時間については、そのうち平均5時間が睡眠に充てられていました。

この数字が示しているのは、犬は夜だけで睡眠を完結させていないという事実です。夜間6時間のうち5時間眠っているとして、残りの9〜10時間は日中の細切れ睡眠で稼いでいる計算になります。「日中ずっと寝ている=暇を持て余している」と解釈しがちですが、実際にはそれが犬の正常な睡眠配分です。

逆に言えば、日中に十分眠れない環境だと、夜だけでは睡眠が足りません。留守番中に工事の音が響く、来客が多い、小さな子どもが常に構ってくるといった環境では、総睡眠時間が削られます。日中の静かな時間を意識的に確保することが、そのまま睡眠時間の確保につながります。

子犬・成犬・シニアで、必要な眠りはこう変わる

睡眠時間は年齢によって大きく変動します。しかも「子犬のときが長く、大人になって短くなり、そのまま」ではありません。シニア期に入ると再び伸びていく、U字型のカーブを描くのが犬の特徴です。

子犬は18〜19時間|生後2ヶ月までは寝るのが仕事

子犬の平均睡眠時間は1日18〜19時間です。生後数週間の時期は、寝ることそのものが主な活動といっていいレベルで、起きているのは授乳や排泄のときだけということも珍しくありません。生後2ヶ月を過ぎると活発に動く時間が増えてきますが、それでも18時間ほどは寝て過ごします。

これほど眠る理由は、成長ホルモンの分泌と脳の発達にあります。骨や筋肉がつくられるのも、日中に経験したことが記憶として整理されるのも、眠っている間です。子犬期の睡眠は「休憩」ではなく「発達そのもの」だと考えてください。

生後4ヶ月を過ぎると15時間以上に落ち着いていきますが、この時期でも成犬より長く眠ります。トイレトレーニングや社会化トレーニングを進めたい時期と重なるため、つい起こして練習させたくなりますが、1回のトレーニングは5分程度にとどめ、あとは寝かせるほうが学習は定着しやすくなります。

子犬期にやりがちな失敗が、家族が代わるがわる遊びに来て、子犬が寝られる時間がほとんど残っていない状態です。可愛いので気持ちはわかりますが、睡眠不足の子犬は興奮しやすく、甘噛みも激しくなります。「寝ているときは触らない」を家族全員のルールにしておくと、後々のしつけがぐっと楽になります。

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成犬期は12〜15時間|生活リズムがそのまま反映される

1歳を過ぎて成犬期に入ると、睡眠時間は12〜15時間で安定します。この時期の睡眠時間は、飼い主の生活リズムを驚くほど忠実に反映するようになります。毎日決まった時間に散歩し、決まった時間に食事を与えていれば、犬もその周期に合わせて寝るタイミングを固定していきます。

逆に、帰宅時間が日によって3時間以上ばらつく家庭では、犬が「いつ寝ればいいのか」を掴めず、細切れの浅い眠りが増えます。総睡眠時間は変わらなくても、まとまった深い眠りが取りにくくなるわけです。生活リズムを完全に固定するのは難しくても、朝の散歩の時間だけは揃える、といった一点固定でも効果があります。

成犬期に注意したいのは、運動量とのバランスです。ボーダー・コリーやジャック・ラッセル・テリアのように運動要求量の高い犬種は、日中の運動が足りないと夜になっても興奮が抜けず、寝つきが悪くなります。散歩の距離を伸ばすより、においを嗅がせる時間や知育トイでの頭の運動を足すほうが、寝つきの改善には効きやすい傾向があります。

8歳以降は再び18〜19時間へ|シニア期の眠りは増えて当たり前

8歳を過ぎたシニア期に入ると、睡眠時間は再び18〜19時間まで伸びていきます。獣医師監修の情報でも、高齢期には18時間程度の睡眠が必要と考えられています。「最近やたら寝るようになった」と感じるのは、多くの場合この加齢による自然な変化です。

理由は複数あります。外部からの刺激に対する反応がゆるやかになること、同じ運動量でも疲労が残りやすくなること、そして体温維持や消化にかかるエネルギー負担が増えることです。若い頃と同じ散歩コースでも、シニア犬にとっては相応の負荷になっています。

シニア期に整えたいのは寝床の環境です。関節への負担を減らすために厚みのあるマットに替える、夜中にトイレへ行きやすいよう寝床とトイレの距離を近づける、寒暖差の少ない部屋に移す。この3点を押さえるだけで、まとまって眠れる時間が伸びやすくなります。段差のある場所に寝床を置いている場合は、床面に下ろすことも検討してください。

【プロドッグ調べ】年齢別・平均睡眠時間の早見表

ここまでの数値を、年齢別に整理しました。愛犬の年齢と照らし合わせて、いまどの位置にいるのかを確認してみてください。

時期 1日の睡眠時間 眠りの特徴 整えたいこと
子犬(〜生後4ヶ月) 18〜19時間 遊びの途中で突然寝落ちする 寝ている間は触らない家族ルール
子犬後期(4ヶ月〜1歳) 15時間以上 起きている時間が急に伸びる 1回5分の短いトレーニング
成犬(1〜8歳) 12〜15時間 生活リズムに睡眠が同調する 散歩・食事の時間を固定する
シニア(8歳〜) 18〜19時間 昼夜の区別があいまいになる 厚みのあるマット・寝床の低い位置

表を見ると、子犬期とシニア期の数値がほぼ同じであることに気づきます。ただし中身は別物で、子犬は「つくるための睡眠」、シニアは「回復するための睡眠」です。同じ18時間でも、必要とする環境は違います。

小型犬と大型犬で、眠る時間は4時間も違う

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年齢に加えて、体のサイズも睡眠時間に影響します。ざっくり言えば、体が大きいほどよく眠ります。愛犬のサイズに合わせて目安を知っておくと、「寝すぎ」「寝なさすぎ」の判断がしやすくなります。

小型犬は10〜14時間|こまめに起きて動き回るタイプ

チワワ、トイ・プードル、ポメラニアンといった小型犬の睡眠時間は、1日あたり10〜14時間程度が目安です。犬全体のなかでは短めのグループに入ります。体が小さいぶん、1回の活動で消費するエネルギーの絶対量が少なく、回復にかかる時間も短くて済むためだと考えられています。

小型犬でよく見られるのが、飼い主が動くたびに起きてついてくる行動です。もともと睡眠時間が短めなうえに、家族の動きに反応して覚醒してしまうため、実際の睡眠が目安を下回ることがあります。寝床をリビングの動線から少し外した位置に置くだけで、まとまって眠れる時間が伸びるケースは多いです。

注意したいのは、小型犬は体温調節が苦手な傾向がある点です。特に冬場、床に近い場所は空気が冷えるため、体が冷えて何度も起きてしまうことがあります。ベッドの下にコルクマットを1枚敷く、寝床の側面を囲んで風が抜けないようにする、といった対策が眠りの持続に効きます。

中型犬は12〜16時間|日中の運動量で変動しやすい

柴犬、ビーグル、コーギー、ボーダー・コリーなどの中型犬は、1日あたり12〜16時間程度が目安です。上下の幅が4時間あるとおり、日中の運動量によって大きく変動するのがこのサイズの特徴になります。

もともと猟や牧畜など、持久的な作業を担ってきた犬種が多いグループです。運動が足りていない日は、夜になっても体力が余ってしまい、寝床でごそごそと落ち着かない様子を見せます。逆にしっかり歩き、においを嗅ぐ時間を確保できた日は、帰宅後すぐに深く眠りに入ります。

おすすめは、散歩の時間を「距離」ではなく「嗅がせた時間」で管理することです。同じ30分でも、ずっと歩き続けるより、10分は自由に嗅がせる時間を混ぜたほうが犬の疲労感は強くなります。嗅覚を使う作業は脳を消耗させるため、体力に余裕のある中型犬ほど効果を感じやすい方法です。

大型犬は14〜18時間|「よく寝る=怠けている」ではない

ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどの大型犬は、1日あたり14〜18時間程度眠るのが目安です。小型犬と比べると最大で4時間ほど長い計算になります。

理由は単純で、体を動かすときに必要なエネルギーが多いからです。同じ距離を歩いても、30kgの犬は3kgの犬よりはるかに大きな仕事量をこなしています。その回復のために、より長い休息が必要になるわけです。「大型犬なのに1日中寝ている」と心配する声をよく聞きますが、数値のうえではむしろ標準的です。

大型犬で気をつけたいのは寝床の広さと硬さです。体を伸ばしきれないサイズのベッドだと、何度も体勢を変えることになり、深い眠りに入りにくくなります。体長よりひとまわり大きいマットを選び、床の硬さが直接伝わらない厚みを確保してください。夏場は接触冷感のマットに替えるなど、季節での入れ替えも効果的です。

犬種の「もともとの仕事」でも眠り方は変わる

サイズだけでなく、犬種が担ってきた役割によっても眠り方に差が出ます。牧羊犬として周囲を見張り続けてきたボーダー・コリーやシェットランド・シープドッグは、物音への反応が鋭く、浅い眠りが多くなる傾向があります。

一方、猟犬として長時間の待機を求められてきたビーグルやダックスフンドは、待つ時間を眠って過ごすことに慣れています。番犬として使われてきた柴犬や秋田犬は、玄関や窓の見える位置で寝たがることが多く、寝床を部屋の奥に置くと使ってくれない、ということも起こります。

ここで大事なのは、「寝床を用意したのに使わない」を犬のわがままだと捉えないことです。犬種の本能に合わない位置に置いていることが原因のケースは少なくありません。愛犬が自分で選んで寝ている場所を数日観察し、その近くに寝床を移してみると、あっさり使い始めることがあります。

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睡眠が足りていない犬が出す4つのサイン

睡眠時間を測るのは大変ですが、足りていないときは行動に出ます。ここで紹介するサインが複数当てはまるようなら、生活のなかで眠る時間が削られている可能性を疑ってみてください。

やたら興奮しやすく、落ち着きがなくなる

睡眠不足の犬にもっとも出やすいのが、興奮のコントロールが利かなくなる状態です。インターホンが鳴っただけで飛び上がる、家族が立ち上がるたびについて回る、いつもなら無視できる刺激に強く反応する。こうした変化は、脳が休めていないサインとして現れます。

人間でも寝不足のときはイライラしやすくなりますが、犬も同じです。しかも犬はレム睡眠の割合が高く、深い眠りの絶対量がもともと少ないため、睡眠が削られたときの影響が行動に出やすい傾向があります。

この状態のときにやってはいけないのが、「エネルギーが余っているのだろう」と運動量を増やすことです。運動を足すとその場は疲れて静かになりますが、興奮状態が長引き、結果として寝つきがさらに悪くなることがあります。まずは刺激を減らし、静かに眠れる時間を確保するほうが先です。

甘噛みと要求吠えが急に増える

眠れていない犬は、口を使う行動が増えます。手や足への甘噛み、家具をかじる、クッションを引っ張り出す。要求吠えも増え、さっきまでおとなしかったのに突然要求が激しくなる、という切り替わりが起きます。

これは「わざと困らせている」わけではなく、自分をなだめる手段として口を使っているケースが多いです。人間の子どもが眠いときにぐずるのと似た現象で、犬自身も持て余しています。叱っても収まりにくいのは、原因が反抗ではなく疲労だからです。

対処としては、興奮している最中に対応せず、静かな場所に移して照明を落とすのが有効です。ケージやサークルにカバーをかけ、視覚刺激を遮ると10分ほどで寝入ることがよくあります。落ち着いてから改めて褒めれば、「静かにすると良いことがある」という学習にもつながります。

⚠️ よくある失敗①:かまいすぎて寝る時間を奪っていた

迎えたばかりの子犬に家族が交代で構い続けた結果、1日の睡眠が10時間程度まで落ち、甘噛みが強くなって手が傷だらけになる——という相談は非常に多いパターンです。原因はしつけ不足ではなく睡眠不足。「子犬が寝始めたら誰も触らない」を家族ルールにし、遊ぶ時間を1回15分×数回に区切ったところ、数日で甘噛みが落ち着いたという例もあります。まず疑うべきは睡眠時間です。

子犬が突然走り回る「ズーミー」が頻発する

夕方になると子犬が急にスイッチが入ったように部屋中を全力で走り回る、いわゆるズーミー。適度な頻度なら正常な行動ですが、1日に何度も起きるようなら睡眠不足を疑ってみてください。疲れすぎて逆に興奮が抑えられなくなっている状態です。

眠いのに眠れない子犬は、自分で興奮を鎮める方法を知りません。走ることで一気にエネルギーを放出し、力尽きて寝る、という荒っぽい手段に頼ります。走り終えたあと数秒で寝落ちするようなら、その可能性が高いです。

ズーミーが始まったら、追いかけずに静観するのが基本です。追いかけると遊びとして成立してしまい、さらに興奮が続きます。障害物をどけて安全を確保し、収まったタイミングで静かに寝床へ誘導してください。日中の睡眠を十分に取れるようになると、ズーミーの頻度は自然に減っていきます。

夜中に何度も起きて動き回る

夜間に何度も起きて部屋をうろうろする、寝床とソファを行き来する、といった行動も要注意です。日中に眠れていない犬は夜も浅い眠りになりやすく、結果として一晩中落ち着かない状態になります。

原因として多いのは、寝る直前の刺激です。夜遅くに帰宅した家族と遊ぶ、就寝直前におやつをもらう、寝る前にテレビの音量が上がる。こうした刺激が入ると、犬の脳が「まだ活動時間だ」と判断してしまいます。

対策はシンプルで、就寝1時間前からは刺激を減らすことです。照明を落とし、遊びを終わらせ、静かな環境に切り替える。人間の入眠準備とほぼ同じ考え方ですが、犬は環境の変化を読み取る能力が高いため、効果が出るのも早い傾向があります。なお、夜間の行動変化が急に始まり数日以上続く場合は、環境要因だけでは説明できないこともあるため、気になるときは獣医師に相談してください。

犬の平均睡眠時間をしっかり確保する寝床のつくり方

睡眠時間を伸ばすためにできることは、実は「寝床の環境を整える」に集約されます。ここでは場所・温度・光と音・寝具の4点に分けて、具体的な整え方を見ていきます。

場所は「奥まっている・動線を外れている・家族が見える」の3条件

寝床の位置は、睡眠時間を左右する最大の要素です。押さえるべき条件は3つ。壁や家具で少なくとも2面が囲まれていること、人が頻繁に通る動線から外れていること、そして家族の気配が感じられる位置であることです。

1つ目と2つ目は、犬の巣穴志向に対応します。もともと穴を掘って身を隠す習性を持つ犬にとって、四方が開けた場所は落ち着きません。3つ目が意外に重要で、完全に隔離された部屋に寝床を置くと、群れから離れた不安から眠りが浅くなることがあります。リビングの隅、壁際の家具の陰といった位置がバランスの取れた選択肢です。

避けたいのはドアの真横、エアコンの風が直撃する場所、テレビの正面、階段の下、洗濯機の隣です。いずれも音や振動、風によって21分周期の覚醒フェーズが「起床」に変わりやすく、まとまった睡眠が取りにくくなります。

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室温は24〜26度、湿度は40〜60%が目安

犬が快適に過ごせる室温は、夏で24〜26度前後、冬で23〜26度程度が目安とされています。湿度は40〜60%、冬場は乾燥対策として50〜60%を保つのが理想です。夏に28度を超えると犬にとってはかなり暑く感じられるため、留守番中も冷房を切らない判断が必要になります。

ここで見落とされがちなのが、測る高さです。エアコンの温度設定や壁の温度計は人の目線に近い高さを示していますが、犬が過ごすのは床から数十センチの空間です。夏は床付近のほうが涼しく、冬は逆に冷えます。犬の寝床の高さに温湿度計を置いて、そこの数値で判断するのが正確です。

犬種によっても適温は変わります。シベリアン・ハスキーやサモエドのような寒冷地原産のダブルコート犬種は暑さに弱く、目安より低めが快適です。逆にチワワやイタリアン・グレーハウンドのようなシングルコートの小型犬は寒さに弱いため、冬は寝床に毛布を追加するなどの調整が必要になります。

📌 押さえておきたいポイント

温湿度計は「犬の寝床の高さ」に置いて確認します。人の目線で26度でも、夏の床付近は数度低く、冬は数度高いことがあります。犬が寝床を離れて床のフローリングに寝そべっているなら暑いサイン、体を丸めて縮こまっているなら寒いサイン。数値と行動の両方で判断してください。

光と音は「20分間、何も起きない」を目標に

犬の睡眠周期は約21分。つまり、20分以上まとまって刺激のない時間をつくれれば、1周期をきちんと完走できる計算になります。逆に10分おきに音が入る環境では、深い眠りに入る前に起こされ続けることになります。

光については、完全な暗闇にする必要はありません。犬は暗い場所でも人よりよく見えるため、真っ暗にしなくても眠れます。それより効果的なのは、明るさの「変化」を減らすことです。夜中に廊下の電気がついたり消えたりする、カーテンの隙間から車のヘッドライトが差し込むといった変化のほうが眠りを妨げます。

音については、生活音を完全に消す必要はありません。むしろ無音の環境では、小さな物音が際立って犬が反応しやすくなります。エアコンの動作音程度の一定した環境音があるほうが、突発的な音がマスキングされて眠りやすくなるケースもあります。

ベッド・クレートは年齢とサイズで選び分ける

寝具選びで基準になるのは、体を伸ばしきったときの体長です。丸まって寝ることが多い犬でも、深い眠りに入るときは体を伸ばします。体長よりひとまわり大きいサイズを選んでおくと、寝返りのたびに縁に当たるストレスがなくなります。

年齢による選び分けも重要です。子犬期は噛んでも危険が少ない素材、成犬期は洗いやすさと通気性、シニア期は関節への負担を減らす厚みとクッション性が優先されます。特にシニア期は、体重が乗る腰やひじの部分が底つきしないだけの厚みが必要です。

クレートを使う場合は、扉を閉めるかどうかで悩む方が多いですが、まずは扉を開けたまま自由に出入りできる状態から始めるのが基本です。クレートの中でおやつを食べさせ、良い場所だという印象をつくってから、少しずつ閉める時間を伸ばしていきます。いきなり閉め切ると、クレートそのものを嫌いになり、寝床として使えなくなります。

知らずに愛犬の眠りを削っている生活習慣

寝床を整えても睡眠時間が伸びない場合、日中の過ごし方に原因があることが多いです。良かれと思ってやっている習慣が、実は眠りを妨げているケースを見ていきます。

寝る直前の激しい遊びが興奮を持ち越す

帰宅が遅くなった日に、罪滅ぼしのつもりで寝る直前に思いきり遊ぶ。よくある光景ですが、これは睡眠の質を下げる典型的な行動です。引っ張りっこやボール投げのような激しい遊びは交感神経を強く刺激するため、遊び終えてもすぐには興奮が冷めません。

目安として、就寝の1時間前には激しい遊びを終わらせてください。どうしても遊びたい場合は、知育トイやノーズワークのように、静かに集中する遊びに切り替えます。嗅覚を使う作業は落ち着きをもたらす方向に働くため、就寝前でも問題になりにくいです。

遊びのあとは、5分ほど静かに撫でる時間をつくると切り替えがスムーズになります。胸元や肩まわりをゆっくり撫でながら声のトーンを落としていくと、犬も呼吸が深くなっていきます。「遊び終わり=寝る時間」という流れを毎日同じ順序でつくることが、寝つきの改善につながります。

散歩の時間帯がバラバラだと体内リズムが崩れる

犬の体内リズムは、光と活動のタイミングで調整されます。散歩の時間が毎日3時間以上ずれると、いつ活動していつ休むのかの基準が定まらず、睡眠が細切れになりやすくなります。

特に影響が大きいのは朝の散歩です。朝日を浴びるタイミングが体内時計のリセットポイントになるため、ここが固定されていると1日の睡眠パターンが安定します。夕方の散歩の時間が多少ずれても、朝が揃っていれば影響は小さく済みます。

夜遅い時間の散歩にも注意が必要です。就寝直前に外に出ると、においや音の刺激で脳が活性化し、帰宅後もなかなか寝つけません。夜間にトイレのために外に出す習慣がある場合は、ルートを短く固定し、においを嗅がせすぎないようにすると影響を抑えられます。

⚠️ よくある失敗②:寝ている愛犬を可愛くて起こしてしまう

寝顔の写真を撮ろうと顔を近づける、へそ天で寝ているお腹をつい触る、名前を呼んで反応を見る。悪気はなくても、これらはすべて深い眠りを中断させる行為です。犬はレム睡眠が約80%で、ノンレム睡眠はもともと2割しかありません。その貴重な時間を毎日削られると、興奮しやすくなったり、寝床を使わなくなったりします。「寝ているときは声もかけない」を徹底するだけで、行動が落ち着くケースは珍しくありません。

食事の回数と時間が眠りに影響する

食後は消化のために体を休めるモードに入ります。そのため、食事の時間が固定されている犬は、そのあとの睡眠タイミングも安定します。逆に、飼い主の都合で朝ごはんが7時のときも10時のときもある、という状態だと、休息のリズムが日ごとにずれてしまいます。

夜の食事が就寝直前になるのも避けたいパターンです。満腹の状態で横になると体勢が落ち着かず、寝入るまでに時間がかかります。就寝の2〜3時間前には食べ終えているのが理想です。

おやつのタイミングも見直す価値があります。夜、犬が要求するたびにおやつを与えていると、「起きて要求すればもらえる」という学習が成立し、夜間の覚醒が増えます。夜のおやつは決まった時間に1回だけ、と決めてしまうほうが、結果的に犬も落ち着きます。

留守番中の環境が総睡眠時間を左右する

犬の睡眠時間の大部分は、実は飼い主が見ていない時間帯に稼がれています。留守番中に静かに眠れているかどうかで、1日の総睡眠時間は数時間単位で変わります。

意外な盲点が、窓から見える景色です。道路に面した掃き出し窓の近くに寝床があると、通行人や自転車が通るたびに反応してしまいます。留守番中はカーテンを閉める、寝床を窓から離すといった対応で、覚醒の回数を大きく減らせます。

宅配便のインターホンも大きな要因です。日中に何度も鳴る家庭では、そのたびに犬が起きて吠え、興奮が収まるまでに時間がかかります。置き配の設定やインターホンの音量調整で、留守番中の刺激を減らしてみてください。総睡眠時間が伸びると、夕方以降の落ち着きが変わってくることがあります。

愛犬の眠りについて、飼い主が抱きやすい疑問

最後に、睡眠時間に関して寄せられることの多い疑問をまとめます。数値の目安を知ったうえでも判断に迷う場面は多いので、考え方の基準として使ってください。

Q. 1日18時間も寝ています。寝すぎではないでしょうか?
A. 子犬(18〜19時間)とシニア犬(18〜19時間)であれば標準の範囲です。大型犬も14〜18時間が目安なので、成犬でもサイズによっては正常です。判断のポイントは時間の長さより「起きているときの様子」。起きたときに食欲があり、散歩に行きたがり、遊びに反応するなら心配は少ないでしょう。起きている時間の元気がなくなってきた、という変化が続く場合は獣医師に相談してください。

寝言を言ったり足がピクピク動くのはなぜ?

寝ている犬が「クンクン」と小さく鳴いたり、足を走るように動かしたり、口をモゴモゴさせたりするのは、レム睡眠中に起きている現象です。レム睡眠は脳が活動している浅い眠りなので、日中の記憶が再生されるなかで身体が反応していると考えられています。

犬はレム睡眠が約80%を占めるため、人よりも高い頻度でこの現象が見られます。「よく寝言を言う子」は異常なのではなく、レム睡眠中を目撃される機会が多いだけ、というケースがほとんどです。

気をつけたいのは、驚いて起こさないことです。寝言や足の動きに反応して名前を呼ぶと、犬は深い眠りから引き戻されます。よほど苦しそうでない限り、そのまま寝かせておくのが正解です。楽しそうに走っている夢の途中かもしれません。

一緒に寝るのは睡眠時間にどう影響する?

飼い主と一緒に寝ること自体が睡眠時間を減らすわけではありません。むしろ群れで身を寄せて眠る習性があるため、安心して深く眠れる犬も多くいます。ただし、条件によってはマイナスに働きます。

影響が出やすいのは、飼い主の寝返りが多い場合や、就寝時間が日によって大きく変わる場合です。人が動くたびに犬が目を覚ますことになり、21分周期の覚醒が「起床」に変わってしまいます。ベッドの端に犬用のスペースを固定する、床にマットを置いて同じ部屋で別々に寝るといった形でも、安心感は十分に保てます。

もうひとつの判断軸は、犬が自分で寝床を選べる状態かどうかです。ベッドから下りたいときに下りられる高さかを確認し、シニア犬の場合はステップを用意するか、床に寝床を用意する形に切り替えてください。

留守番中はずっと寝ているって本当?

おおむね本当です。犬の睡眠は日中に分散しているため、留守番の時間帯は主要な睡眠時間帯になります。活動量計のデータでも夜間6時間のうち5時間が睡眠なので、残り7〜10時間ぶんは日中に取っている計算になります。

ただし「留守番中はずっと寝ているから運動不足でも大丈夫」という結論にはなりません。日中に眠るのは、朝と夕方に活動できているという前提があってこそです。散歩や遊びの時間が足りない日は、寝ているように見えても浅い眠りが続き、夕方に落ち着きのなさとして表れます。

留守番の質を上げたいなら、出かける前の30分に軽い運動を入れるのが有効です。散歩に行けない日でも、家の中でおやつを隠して探させるノーズワークを10分やるだけで、そのあとの眠りは深くなります。犬にとって「探す」作業は、歩く以上に頭を使う運動です。

まとめ:犬の平均睡眠時間を知れば、愛犬の「今日」がよく見える

🐕 この記事の結論

成犬の平均睡眠時間は1日12〜15時間、子犬とシニア犬は18〜19時間が目安。犬はレム睡眠が8割と眠りが浅いため、長く寝るのが正常です。

✅ 要点チェック
  • 成犬:1日12〜15時間が標準の目安
  • 子犬・シニア:どちらも18〜19時間まで伸びる
  • 眠りの質:レム睡眠80%・ノンレム20%で浅い
  • サイズ差:小型犬10〜14/大型犬14〜18時間
  • 環境:室温24〜26度・湿度40〜60%を寝床の高さで
  • やらない:寝ている犬を起こす・寝る直前の激しい遊び

犬の平均睡眠時間は、成犬で1日12〜15時間、子犬とシニア犬では18〜19時間。人間の倍近く眠るのは、レム睡眠が約80%を占め、眠りそのものが浅いからです。16分眠って5分起きる約21分の周期を1日に何度も繰り返す多相性睡眠という形で、犬は必要な休息を積み上げています。

体のサイズによっても差があり、小型犬は10〜14時間、中型犬は12〜16時間、大型犬は14〜18時間が目安です。「うちの子は寝すぎかも」と感じたときは、まず年齢とサイズの目安に照らしてみてください。多くの場合、その数値の範囲に収まっています。

判断に迷ったときの基準は、時間の長さではなく起きているときの様子です。食欲があり、散歩に行きたがり、名前を呼べば反応する。この3つが保たれているなら、睡眠時間が長くても心配は少ないと考えてよいでしょう。逆に、睡眠が足りていない犬は興奮しやすくなり、甘噛みや要求吠えが増え、夜間に何度も起きるようになります。

今日からできる最初の一歩として、温湿度計を愛犬の寝床の高さに置いてみてください。人の目線で快適な室温でも、床から30cmの空間は季節によって数度ずれています。そのうえで、寝床の位置を動線から少し外し、「寝ているときは触らない」を家族で共有する。この3つだけで、まとまって眠れる時間は変わってきます。

愛犬が安心して長く眠れる家は、それだけで信頼関係ができている家でもあります。ぐっすり眠る寝顔を見かけたら、写真を撮りたい気持ちをぐっとこらえて、そっとしておいてあげてください。それが今日いちばんのプレゼントになります。

※本記事の睡眠時間・睡眠サイクルに関する数値は、獣医師監修の解説記事および動物病院が開発した犬猫用活動量計のデータを参照しています。犬の飼育環境の基本については環境省「飼い主の方やこれからペットを飼う方へ」もあわせてご確認ください。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

犬の行動学・心理学を独学で学び続けている愛犬家。犬種ごとの性格や飼い方のポイント、しつけの悩み解決まで、犬と暮らす人に寄り添った情報をお届けしています。「犬ともっと仲良くなりたい」すべての飼い主さんを応援するメディアです。

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