「うちの子、寝る前に布団を前足でガリガリ掘るんだけど、これって何かのサインなの?」——ソファやカーペット、ときには飼い主の腕まで一心不乱に掘る「ほりほり」に、戸惑ったことのある飼い主さんは多いはずです。かわいい仕草に見える一方で、「ストレスなのかな」「やめさせたほうがいいのかな」と心配になりますよね。
結論から言うと、犬のほりほりの大半は、祖先のオオカミ時代から受け継いだ「巣穴づくり」の本能に由来する自然な行動です。掘ることで寝床を整えたり、自分のニオイをつけて安心したりしています。ただし、留守番のあとに何度も繰り返す、老犬が急に掘りだす、といったケースでは気持ちの乱れが隠れていることもあります。
この記事では、犬がほりほりする6つの理由をシーン別に整理し、布団・ソファ・床・人それぞれでの意味の違い、放っておいてよいケースと気をつけたいサイン、そして無理なくやめさせるコツまで、犬仲間に教えるつもりで具体的に解説します。読み終えるころには、愛犬のほりほりを見て「今日は寝床づくりだな」と気持ちが読めるようになりますよ。
・犬がほりほりする6つの理由と、シーン別(布団・ソファ・床・人)の本音
・放っておいてよいほりほりと、気をつけたいNGサインの見分け方
・叱らずに無理なくやめさせる方法と、子犬・成犬・シニアの使い分け
・【プロドッグ調べ】ほりほりの気持ち早見表
犬ほりほりって何?前足でガリガリ掘るしぐさの正体
まずは「ほりほり」がどんな行動で、なぜ犬がするのかという土台の部分を押さえておきましょう。ここが分かると、あとの理由の話がすっと腑に落ちます。
そもそも「ほりほり」ってどんな行動?
ほりほりとは、犬が前足を交互に動かして地面や布、床を掘るようにかく仕草のことです。実際に穴が空くわけではなく、「掘る動作」だけを繰り返しているのがポイント。寝る前の布団、遊びの最中のソファ、散歩中の土、飼い主の膝の上など、場面を選ばずに現れます。掘ったあとにクルクル回って伏せる、鼻先で押し込むような動きがセットになることも多いです。子犬から老犬まで年齢を問わず見られ、掘る強さや頻度には個体差があります。まずは「異常な行動ではなく、犬にとってごく当たり前のしぐさ」と受け止めるところからスタートしましょう。むやみに叱ると、かえって隠れてやるようになってしまいます。
祖先のオオカミから受け継いだ「巣穴づくり」の本能
ほりほりの根っこにあるのは、イヌ科の動物がもともと持っていた巣穴を掘る習性です。犬の祖先は土を掘って巣穴をつくり、外敵から身を隠したり、地面の温度を利用して暑さ寒さをしのいだりしていました。人と暮らすようになって1万年以上経った今でも、この本能はしっかり残っています。掘って地面をやわらかくし、自分の体にフィットする形に整えることで、安心して眠れる寝床をつくっていたのですね。だから室内で布団やベッドをほりほりするのは、「快適な寝床に整えたい」という祖先譲りの準備運動のようなもの。動物の行動や習性については、環境省が示す飼い主向けの情報(環境省 動物の愛護と適切な管理)も参考になります。本能由来だと分かれば、掘っていても慌てずに見守れます。
ほりほりしやすい犬種の傾向がある
ほりほりはどんな犬にも見られますが、特に掘る動作が好きな犬種の傾向はあります。もともと地中の獲物を追って穴を掘る役割で改良されたダックスフンドやテリア種、ビーグルなどは、穴掘りへの意欲が強く出やすいと言われています。狩猟や作業のなかで「掘る」ことが仕事の一部だった犬たちは、その名残で遊びとしてもよく掘ります。一方、掘る仕事と縁が薄かった犬種でも、寝る前の巣づくりのほりほりは普通に見られます。つまり犬種はあくまで「掘りやすさの傾向」であって、掘らない子が変というわけではありません。愛犬の犬種のルーツを知っておくと、「掘るのが好きなタイプなんだな」と行動の背景を理解しやすくなりますよ。
掘ったあとにその場でクルクル回るのも巣づくりの名残。野生時代に草や地面を踏み固め、ヘビや虫を追い払って安全を確かめてから伏せていた行動の名残と考えられています。ほりほり+クルクルはセットで「これから寝るよ」のサインです。
庭や土をガリガリ掘るタイプのほりほりについては、こちらの記事で理由と対策を詳しくまとめています。

「庭に出すと一心不乱に土を掘る」「ベッドや布団をホリホリしてから寝る」「ソファをガリガリ掘って困っている」——穴を掘る犬の行動に、戸惑ったことはありませんか。や…
犬がほりほりする理由|寝る前・布団・ソファでの本音
ほりほりの理由は大きく6つに分けられます。まずは寝床づくりや安心感にまつわる、前半3つの本音から見ていきましょう。
理由1:快適な寝床をつくりたいから
もっとも多いのが、寝る前の「寝床づくり」です。布団やベッド、クッションをほりほりして、自分が心地よく眠れる形に整えています。祖先が土を掘って寝床のくぼみをつくっていたように、掘って布をたぐり寄せ、体にフィットする窪みや山をつくっているのですね。特に寝る直前、伏せる前のほりほりはこのタイプがほとんど。掘ったあとに満足そうに丸くなって眠りにつくなら、寝床の調整が目的だと考えてよいでしょう。これはごく健全な行動なので、止める必要はありません。むしろ掘りやすい厚手のブランケットを一枚置いてあげると、短時間で満足して落ち着くことも多いです。爪が引っかかって布が破れるのが気になる場合だけ、丈夫な素材に替えてあげましょう。
理由2:自分のニオイをつけて安心したいから
犬の前足の裏(肉球のあいだ)には、ニオイを出す臭腺があります。ほりほりして寝床をこすることで、自分のニオイを布になすりつけているのです。自分のニオイに包まれた場所は犬にとって何より安心できる空間で、「ここは自分の縄張り、ここで安心して眠ろう」という気持ちの表れといえます。引っ越しや模様替えのあと、新しいベッドを迎えた直後などに念入りにほりほりするのは、まだ自分のニオイが薄くて落ち着かないから。数日かけてニオイがなじむと、掘る回数は自然に落ち着いていくことが多いです。無理に新品のにおいを消そうと洗剤で強く洗いすぎると、かえって落ち着かなくなることもあるので、愛犬の使い慣れたタオルを一緒に置いてあげると安心しやすくなります。
理由3:暑さ・寒さを調整したいから
ほりほりには、寝床の温度を快適にする目的もあります。野生時代、犬の祖先は夏は掘って冷たい土を掘り起こし、冬は穴にもぐって風を避け、体温を保っていました。その名残で、室内でも暑いときは布をどけて涼しい面を出そうと掘り、寒いときは布をたぐり寄せてもぐり込もうとほりほりします。夏場にひんやりした床の上でほりほりしてから伸びて寝る、冬に毛布を掘って中にもぐる、といった行動はこの調整サインです。季節によって掘り方が変わるなら、寝床の温度が合っていないヒントかもしれません。夏は接触冷感マット、冬はもぐれるタイプの寝床を用意すると、掘る手間が減って早く落ち着けます。愛犬がどの季節によく掘るか観察してみると、快適な寝床づくりのヒントになりますよ。
寝る前・伏せる前のほりほりは、ほぼ「寝床づくり」「ニオイづけ」「温度調整」のどれか。どれも本能に沿った健全な行動なので、短時間で落ち着くなら見守ってOKです。掘りやすい布を一枚置くと、満足までの時間が短くなります。
犬がほりほりする理由|遊び・気持ちのサインを読み解く
ほりほりは寝床づくりだけではありません。ここからは、遊びや感情の高ぶり、ストレスにまつわる後半3つの理由を見ていきます。
理由4:掘ること自体が楽しい遊びだから
掘る動作そのものを遊びとして楽しんでいる犬も多くいます。前足を勢いよく動かして布やクッションを掘り、そのあとおもちゃをくわえて振り回す——こんな流れなら、掘るのは遊びの一環です。特に狩猟由来の犬種や活発な子は、有り余るエネルギーの発散として掘ることを好みます。散歩や遊びが足りていない日、雨で外に出られなかった日などに、家の中で急にほりほりが増えるのはこのタイプ。楽しさが目的なので表情も生き生きしていて、しっぽを振りながら掘ることも多いです。困るのは家具や布が傷むこと。頭から否定するのではなく、引っ張りっこや宝探しなど、思いきり体を使える遊びで満たしてあげると、家具へのほりほりは自然に減っていきます。
理由5:うれしさや興奮を発散したいから
気持ちが高ぶったときのクールダウンとして掘る犬もいます。飼い主が帰宅した直後、おやつの前、遊びで盛り上がった直後などに、その場でガリガリと掘りだすのがこのパターン。うれしさや興奮が体の中で抑えきれなくなり、掘る動作でエネルギーを逃がしていると考えられます。人が緊張したときに貧乏ゆすりをするのに少し似ていますね。この場合のほりほりは一時的で、気持ちが落ち着けばすぐに止まります。無理に制止するとせっかくの発散ができず、飛びつきや甘噛みなど別の形で出てしまうこともあります。「今うれしいんだね」と受け止めつつ、落ち着いたタイミングで「おすわり」を挟んでクールダウンを手伝ってあげると、興奮の切り替えが上手になっていきます。
理由6:不安やストレスを紛らわせたいから
一方で、不安な気持ちを紛らわせるために掘るケースもあります。長時間の留守番、スキンシップ不足、引っ越しや家族構成の変化といったストレスがかかると、犬は掘る動作を繰り返して気を紛らわせようとします。これは自分を落ち着かせようとする無意識のサインで、カーミングシグナルの一種とも言われます。見分けるポイントは、掘っても掘っても表情がすっきりせず、そわそわ落ち着かない様子が続くこと。楽しそうな遊びの掘りとは雰囲気が違います。この場合に必要なのは掘るのを止めることではなく、ストレスの原因を減らすこと。散歩や運動でしっかり体を動かし、留守番前後のスキンシップを増やすと、掘って気を紛らわせる必要が薄れていきます。原因が思い当たらず長く続くときは、獣医師に相談すると安心です。
同じほりほりでも、「寝る前・落ち着いている」なら寝床づくり、「表情が明るく遊びの前後」なら楽しさ、「そわそわして表情が硬い」なら不安のサイン。掘る動作そのものより、前後の表情と状況をセットで見ると気持ちが読み取りやすくなります。
布団・ソファ・床・人|ほりほりする場所でわかる気持ちの違い
同じほりほりでも、どこを掘るかで気持ちのニュアンスが変わります。よくある4つの場所別に、本音と対応のコツを見ていきましょう。
布団・ベッドをほりほりするとき
布団やベッドのほりほりは、ほぼ「これから寝る準備」です。掘って形を整え、自分のニオイをつけ、温度を調整してから丸くなる——寝床づくりの3点セットが集約された場所といえます。落ち着いた表情でゆっくり掘り、そのまま伏せて眠るなら、健全なルーティンなので見守ってOK。困るのは爪でシーツや布団が傷むことくらいです。対策としては、掘っても破れにくい厚手のブランケットや専用ベッドを用意し、そこで掘ってよいことにするのが手軽。子犬のうちから「ここが寝床」と決めておくと、掘る場所も自然と定まります。就寝前に長時間そわそわ掘り続けて眠れない様子があるときだけ、寝床の位置や明るさ、温度を見直してあげましょう。
ソファ・クッションをほりほりするとき
ソファやクッションのほりほりは、寝床づくりと遊びの両方の可能性があります。飼い主の隣でひと掘りして丸くなるなら安心できる居場所づくり、勢いよく掘っておもちゃを持ち出すなら遊びのスイッチが入った合図です。ソファは布が厚く爪応えがあるので、掘る感触を楽しんでエスカレートしやすい場所でもあります。放っておくと生地がほつれたり爪が引っかかってケガをしたりするので、掘ってほしくないソファには犬用のカバーを掛け、代わりに掘ってよいマットを近くに置くのがおすすめ。「ソファはダメ、こっちならOK」と場所を切り替えてあげると、叱らずに家具を守れます。掘りだしたら名前を呼んで別の遊びに誘う、という流れも覚えさせやすいですよ。
フローリング・カーペットをほりほりするとき
掘れない硬い床やカーペットをほりほりするのは、本能のスイッチが入っているものの成果が出ずに続けているケースが多いです。硬い床では涼を取ろうと掘る、カーペットでは巣づくりの延長で掘る、といった具合ですね。掘っても布がたぐり寄せられないため、満足できずに長引きやすいのが特徴。フローリングの上で掘るなら、その場所が暑い・寒い・落ち着かないなど環境のヒントかもしれません。掘ってよいマットや涼感マットを敷いてあげると、そちらで満足して落ち着くことが増えます。ただしカーペットを一点だけ執拗に掘り続ける、爪が擦り切れるほど掘る場合は、退屈やストレスのサインのことも。床を掘る行動をシーン別に深掘りした記事もあわせてどうぞ。

くつろいでいたはずの愛犬が、急にフローリングやベッドを前足でガリガリ。床に穴があくわけでもないのに、なぜあんなに一生懸命掘るのか不思議に思ったことはありませんか…
飼い主の腕や膝をほりほりするとき
飼い主の体をほりほりするのは、多くが「かまってほしい」「甘えたい」という気持ちの表れです。撫でてほしいのに手が止まったとき、遊んでほしいときなどに、前足でチョイチョイ掘るように催促します。加えて、庭やソファでの掘りを止められた犬が「飼い主の膝ならいいかな」と掘り先を人に向けることもあります。かわいい仕草ですが、要求のたびに毎回応じると「掘れば思い通りになる」と学習し、要求がエスカレートすることも。掘ってきたらすぐ構うのではなく、いったん落ち着いてから撫でる・遊ぶという順番にすると、穏やかな甘え方が身につきます。爪で引っかかれて肌が傷つくのも避けたいので、強く掘るときは手を止め、落ち着いたら褒める、を繰り返しましょう。
膝をほりほりしてきた愛犬に「ダメ!」と大声で叱ったら、逆に興奮して掘りが激しくなった——これはよくある失敗です。犬にとって大きな声は「反応してもらえた=かまってもらえた」ご褒美になりがち。強く叱るより、静かに手を止めて反応を消し、落ち着いた瞬間に穏やかに構うほうが、要求のほりほりは早く落ち着きます。
放っておいて大丈夫?気をつけたいほりほりのサイン
ほりほりの多くは健全ですが、なかには気持ちの乱れや不調が隠れているサインもあります。見守ってよいものと注意したいものの線引きを知っておきましょう。
基本は見守ってOKなほりほり
まず安心してほしいのは、日常的なほりほりのほとんどは放っておいて問題ないということです。寝る前に布団を掘って丸くなる、遊びの前後にひと掘りする、うれしくて興奮を発散する——これらはすべて本能や気持ちに沿った自然な行動で、掘ったあと数十秒〜数分で満足して止まります。表情が穏やかで、掘り終えたあとにケロッとしているなら心配いりません。むしろ無理にやめさせようとすると、犬は「安心できる寝床づくりを邪魔された」と感じてストレスになることも。健全なほりほりは犬の生活の一部として尊重し、家具が傷むなど実害がある部分だけ環境で工夫する、というスタンスが基本です。「掘る=悪」と決めつけないことが、犬との信頼関係を守るコツです。
実は「掘らせない」より「掘る場所を用意する」が正解
意外と知られていませんが、ほりほりは無理に消すよりも「掘ってよい場所を用意する」ほうがうまくいきます。掘るのは本能なので、全面禁止にすると欲求のはけ口がなくなり、かえって別の場所を執拗に掘ったり、ストレス行動に発展したりしがちです。掘ってよいマットやブランケット、庭に掘ってOKの砂場コーナーを決めてあげると、犬は思う存分掘って満足でき、家具や床は守れます。「やめさせる」の反対が「思いきりやらせる」になるのは逆説的ですが、本能行動にはこのアプローチが効きます。掘ってよい場所で掘れたらしっかり褒める——このセットで、犬は「ここで掘ればいいんだ」と自分から選ぶようになります。禁止一辺倒より、はるかに穏やかに解決できますよ。
注意したいのは「常同行動」や急な変化
気をつけたいのは、掘る行動が度を越して繰り返される場合です。何のきっかけもなく1日に何度も長時間掘り続ける、同じ場所を爪が擦り切れるほど掘る、呼んでも掘るのをやめられない——こうした様子は、同じ動作を意味なく繰り返す「常同行動」の可能性があります。強いストレスや不安が背景にあることが多く、暮らしの見直しが必要なサインです。また、これまで掘らなかったシニア犬が急に掘りだした、夜中に落ち着きなく掘り回るといった急な変化も、見過ごさないほうがよい変化です。こうしたケースは行動の問題や体調の変化が隠れていることもあるため、自己判断で対処しようとせず、気になる場合は早めに獣医師に相談しましょう。日頃から「いつ・どこで・どのくらい」掘るかをメモしておくと、相談時に状況を伝えやすくなります。
「掘りすぎ」の目安は、掘る行動で日常生活が回らなくなっているかどうか。食事や散歩、休息よりも掘ることを優先し、止められずに続くようなら注意サインです。ケガや体調に関わる判断はこの記事だけで完結させず、気になる場合は獣医師に相談してください。
犬のほりほりをやめさせる・うまく付き合う5つのコツ
家具や床が傷むほりほりは、叱るのではなく環境と習慣で穏やかに減らせます。今日から試せる5つのコツを紹介します。
コツ1:掘ってよい場所とアイテムを用意する
まず用意したいのが「ここなら掘ってOK」という専用スペースです。厚手のブランケットや犬用ベッド、掘れるタイプのマットを決まった場所に置き、そこで掘れたら褒めます。庭がある家なら、掘ってよい砂場コーナーをつくるのも有効。本能を否定せず正しい方向に流すこの方法は、家具や床を守りながら犬も満足できる、いちばん角の立たないやり方です。子犬のうちからこの場所を教えておくと、掘り先が定着しやすくなります。ポイントは、掘ってほしくない場所(大事なソファなど)にはカバーを掛けて掘りにくくし、掘ってよい場所は掘りやすくしておくこと。「掘りやすさ」の差で、犬は自然と正解の場所を選ぶようになります。寝床づくりの詳しい整え方はこちらも参考にしてください。

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コツ2:散歩と遊びでエネルギーを満たす
退屈やエネルギー余りが原因のほりほりには、運動量を増やすのがいちばんの近道です。掘るのは有り余る体力の発散でもあるので、散歩の時間を延ばす、コースに変化をつける、引っ張りっこや宝探しで頭と体を使わせる、といった工夫で「掘りたい欲」そのものが落ち着きます。特に狩猟由来の活発な犬種は、掘る代わりに嗅覚を使うノーズワークやおやつ探しゲームと相性が良好。1日5〜10分でも集中して頭を使う遊びを挟むと、満足感が高まって家具を掘る回数が減っていきます。雨で散歩に行けない日は、室内でのおもちゃ遊びや簡単なトレーニングで代わりに発散を。「掘る前に満たす」を意識すると、そもそも困ったほりほりが起きにくくなります。
コツ3:叱らず「別の行動」に切り替える
掘りだしたときに大声で叱るのは逆効果になりがちです。犬にとって飼い主の反応はご褒美になり、「掘れば構ってもらえる」と学習してしまうから。おすすめは、掘りだしたら名前を呼び、「おいで」や「おすわり」など別の行動に誘って、できたら褒める方法です。掘る→呼ばれて移動→褒められる、の流れを繰り返すと、犬は自分から掘るのをやめて飼い主に注目するようになります。ここで大切なのは、掘る前や掘り始めの早いタイミングで切り替えること。夢中になってからでは声が届きにくくなります。叱って行動を止めるのではなく、望ましい行動に置き換えて褒める——このしつけの基本を守ると、犬も飼い主もストレスなく減らせます。
コツ4:子犬・成犬・シニアで対応を変える
ほりほりへの向き合い方は、年齢によって少し変えるのがコツです。子犬期は好奇心と社会化の真っ最中なので、掘ってよい場所を早めに教え、家具を掘ったら静かに別の遊びへ誘って「掘る場所のルール」を根づかせる時期。成犬は体力があり余りやすいので、運動と知育でエネルギーを満たすことが中心になります。シニア犬は、これまで掘らなかった子が急に掘りだしたり、夜間にそわそわ掘り回ったりする変化に注意したい時期。体力に合わせて散歩量を無理なく保ちつつ、急な行動の変化があれば早めに獣医師へ相談を。同じ「ほりほり」でも、子犬は教える、成犬は満たす、シニアは見守り変化に気づく、と軸を変えると対応がぶれません。
掘ってよい場所を用意しないまま「どこで掘ってもダメ」と叱り続けたら、留守番中にこっそりカーペットを掘るようになった——という失敗はよくあります。本能のはけ口をふさぐと、見ていない場所で出るだけ。禁止する前に、必ず「ここなら掘ってOK」の逃がし先を先に用意してあげましょう。
コツ5:ストレスの原因を減らす
不安が背景のほりほりには、掘る動作を止めるより原因を取り除くことが根本的な解決になります。長時間の留守番が続いていないか、生活リズムや家族構成に変化がなかったか、スキンシップは足りているかを振り返ってみましょう。留守番前後に一緒に遊ぶ時間をつくる、寝る前にゆったり撫でる時間を設けるだけでも、犬の安心感は大きく変わります。環境の変化があった直後は、使い慣れた寝床やタオルを近くに置いて「いつもの匂い」で包んであげると落ち着きやすいです。それでもそわそわした掘りが長く続く、食欲や睡眠にも変化がある場合は、抱え込まずに獣医師や専門家に相談を。原因にアプローチすれば、掘って気を紛らわせる必要そのものが薄れていきます。
【プロドッグ調べ】ほりほりの気持ち早見表とシーン別対応
ここまでの内容を、ひと目で確認できる早見表にまとめました。愛犬のほりほりを見たとき、状況と照らし合わせて気持ちを読み取る目安にしてください。
シーン別・ほりほりの気持ち早見表
掘る場所とタイミング、前後の表情を組み合わせると、ほりほりの意味はかなり読み取れます。下の表は、プロドッグが行動の解説記事や獣医師監修の情報を整理し、よく見られるパターンを分類したものです。
| シーン | 主な気持ち | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 寝る前に布団を掘る | 寝床づくり・安心 | 見守ってOK |
| 遊びの前後に掘る | 楽しさ・興奮の発散 | 遊びで満たす |
| 飼い主の腕・膝を掘る | かまって・甘え | 落ち着いてから構う |
| 硬い床を掘り続ける | 温度・環境が不快 | 寝床の温度を見直す |
| 留守番後にそわそわ掘る | 不安・ストレス | 原因を減らす・相談も |
掘る場所を「禁止」と「用意」で分ける考え方
やめさせたいときに迷ったら、掘る場所を「掘ってほしくない場所」と「掘ってよい場所」に分けて考えるとシンプルです。掘ってほしくないソファや布団はカバーで掘りにくくし、掘ってよいマットや砂場は掘りやすくしておく。この差をつけるだけで、犬は本能を満たしながら正しい場所を選べるようになります。下の表で、全面禁止する場合と掘る場所を用意する場合の違いを比べてみましょう。
| 掘る場所を用意する | 全面禁止だけする |
|---|---|
| 本能を満たせて満足しやすい 家具・床を守りやすい 叱らずに済み関係が良好 |
はけ口がなくストレスに 見えない場所で掘りがち 叱ることで関係が悪化しやすい |
今日のほりほりを記録して変化に気づく
最後におすすめしたいのが、ほりほりを軽く記録しておく習慣です。「いつ・どこで・どのくらい・前後の表情はどうか」をスマホのメモに残すだけで、愛犬のほりほりのパターンが見えてきます。ほとんどが寝る前や遊びの前後なら健全なサインと分かって安心できますし、留守番後に増えている、最近急に長くなった、といった変化にも早く気づけます。記録は、いざ獣医師や専門家に相談するときにも役立つ大切な情報になります。特にシニア期に入った犬は、行動の変化が体調のヒントになることもあるので、ゆるやかに見守る目を持っておくと安心です。毎日きっちりでなくてOK。「あれ、いつもと違うな」と思ったときにメモする、くらいの気軽さで続けてみてください。
まとめ:犬のほりほりは本能のサイン、気持ちを読んで付き合おう
犬のほりほりは、その大半が祖先から受け継いだ「巣穴づくり」の本能に由来する、ごく自然な行動です。快適な寝床をつくる、自分のニオイで安心する、温度を調整する、遊びやうれしさを発散する——掘る理由はさまざまですが、寝る前や遊びの前後に穏やかに掘るなら、基本は見守って大丈夫。掘る場所や前後の表情を組み合わせて見ると、そのときの気持ちがぐっと読み取りやすくなります。
一方で、留守番後にそわそわ掘り続ける、シニア犬が急に掘りだす、同じ場所を止められず掘り続けるといったケースは、不安や体調の変化が隠れていることもあります。「掘る=悪」と決めつけて叱るのではなく、原因に目を向け、掘ってよい場所を用意してあげるのが、犬にも飼い主にも優しい向き合い方です。
・ほりほりの理由は「寝床づくり・ニオイづけ・温度調整・遊び・興奮・不安」の6つ
・寝る前や遊びの前後の穏やかな掘りは、基本は見守ってOK
・掘る場所と前後の表情を組み合わせると気持ちが読み取れる
・やめさせたいときは叱るより「掘ってよい場所」を用意するのが正解
・散歩や遊びでエネルギーを満たすと困った掘りは減る
・子犬は教える、成犬は満たす、シニアは変化に気づく、と対応を変える
・留守番後の掘りや急な変化は原因を見直し、気になれば獣医師に相談
まずは今日、愛犬がどんなときにほりほりするかを一度じっくり観察してみましょう。寝る前の巣づくりなら掘りやすいブランケットを一枚用意し、遊びの発散なら散歩やおもちゃで満たしてあげる。「掘る場所」を用意して正しい方向へ流すだけで、家具を守りながら愛犬の本能も満たせます。ほりほりは、愛犬の気持ちを知る楽しいサイン。意味が分かれば、その仕草がもっと愛おしく見えてくるはずですよ。
※記事内で紹介した情報は一般的な傾向であり、犬種や個体によって異なります。愛犬の体調や行動で気になる点がある場合は、獣医師にご相談ください。
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